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+弐佰肆拾伍+ ページ5








千鶴《今の、は…………》


沖田「これ、いい小太刀だね。
随分年代物みたいだけど………」


千鶴《!す、すいません!
ありがとうございます!》


『どうでしたか?』


斎藤「………少なくとも外を連れて歩くのに
不便を感じさせない腕だ」








斎藤さんは淡々と答える。
…………俺もようやく剣術について
詳しくなったから言えるけど、
確かに基礎的な動きは出来ていた。

“刃を持つ”と言う責任感には正直欠けた部分もあるが、
これなら力が弱くても巡察には俺達隊士もいるし、
沖田さん達幹部もいる。


襲われても、隊士達が助けに行ける時間は稼げると思う。
斎藤さんも同じような事を考えた筈。

身を守る護身術の心得は得ているんだろう。









『それは、副長が許可を出せば同行してもいい、
と解釈してもよろしいでしょうか』


沖田「そう言う事になるね」









そうだ。彼女を外に出すか出さないかは、
俺も、お二人でも決める事は出来ない。

大阪にいる副長が戻らない限り、
彼女を外に出すわけにはいかない。
これは決められた事だ。

どうする事も出来ない。









斎藤「副長が大阪出張から戻るまで
今暫し待たせる事になる…………すまないな」


千鶴《いいえ、お気遣いありがとうございます。
………でも、気にしないで下さい》


斎藤「巡察に同行出来るよう、
俺達から副長に進言して置こう」


『何かあれば、監察方もいますので』


沖田「だからもう少しだけ大人しくしててね。
遊び相手くらいになら、なってあげるからさ」


『…………何をするおつもりなんですか』









全く油断も隙もない。
ニンマリと沖田さんは笑って、
俺の言葉は流されてしまう。

ふと、雪村さんが俺に近づいてきた。









千鶴《山野さん、ありがとうございます》

『…………?何がですか』


千鶴《山野さんがこうして沖田さんや斎藤さんに
話をして下さったお陰で、私…………
外に出られる機会を得られたかも知れません》


『…………礼には及びません。
まだ出られるかどうか分からないのですから』


千鶴《それでも、私の為に…………
ありがとうございます》









雪村さんはそう言って笑った。

その笑顔を見たら、
何だかくすぐったいような感覚を覚えたが、

嬉しく思えたのだった。

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冷泉 雪桜(プロフ) - 風化月下さん» 月下さん、コメントありがとうございます。小説が長くなり過ぎてしまって少し申し訳ないです…………………………楽しんで貰えているのなら幸いですが( ̄▽ ̄;)これからもよろしくお願いします! (2018年2月8日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
風化月下(プロフ) - こんなに長くて面白い小説は初めてです!応援してるので更新頑張ってください(*´ω`*) (2018年2月8日 19時) (レス) id: 61e3ec196f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2018年1月12日 19時

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