+弐佰陸拾捌+ ページ28
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沖田「あははっ」
『笑わないで下さい………』
沖田「ごめん。君って本当に面白いね」
『………』
何だか、複雑なんだが。
褒めているのか、それともただの嫌がらせだろうか。
全くもってよく分からない人だ。
沖田さんは笑いながら謝るけど、
その口は笑みを崩す事はない。
『………あの。薬、ありがとうございました』
沖田「クスクスッ…………どういたしまして。
ちゃんと寝てなよ?」
『………ッ』
嗚呼、頬が………熱い。
沖田さんは笑って俺の乱れた髪を
スルリッと去り際に触れた。
その手はひんやりと冷たかったのに、
暖かくて………優しかった。
いつもは楽しそうな笑みを浮かべる彼が、
今日の笑みはどこか違うように感じて、
この時初めて、触れられたような気がした。
肌が触れた事ではなく、
ただ、彼の中にある“何か”と………
『(人はこの感情を何て言うのかな)』
子供の頃に、忘れてしまった感情。
あの焼けてしまって何もかもが灰と化した
俺の帰る場所に置いてきてしまった感情。
その感情は、最近俺を弱くしてしまう。
でも、離れがたくて………
忘れたくないと、そう思えたんだ。
ここには、俺が子供の頃に欲しかった物がある。
酷く、淡くて夢のような。
しまって置かなければ、変な期待をしてしまいそうで、
言葉とは裏腹に、恐ろしい。
それでも………
忘れたくないと、思えたんだ。
俺はもう、一人じゃない。
Aside〜end〜
__________________
沖田side
土方「総司………」
今、八十八君を運ぶ左之さんに付いて行って、
八木邸の玄関まで来た時に土方さんに捕まって、
お説教されている。
相変わらずの眉間の皺の濃さ。
あれ、この台詞何回目だっけ。
土方「珍しく稽古に出たと思ったら………
手加減なしで隊士を気絶させやがって!
いい加減にしやがれっ!!」
沖田「手なんか抜いたら実戦どころの
話じゃなくなるじゃないですか」
土方「限度ってもんがあるだろ!
いざ出陣する際に動けねぇようなら
意味ねぇだろうが!!
だいたいお前は…………!」
嗚呼、始まっちゃった。
土方さんの説教長いから嫌なんだよね。
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冷泉 雪桜(プロフ) - 風化月下さん» 月下さん、コメントありがとうございます。小説が長くなり過ぎてしまって少し申し訳ないです…………………………楽しんで貰えているのなら幸いですが( ̄▽ ̄;)これからもよろしくお願いします! (2018年2月8日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
風化月下(プロフ) - こんなに長くて面白い小説は初めてです!応援してるので更新頑張ってください(*´ω`*) (2018年2月8日 19時) (レス) id: 61e3ec196f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2018年1月12日 19時