＊白き焔に雪降りの舞を＊ (ページ9)

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漆ページ9

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鶴丸「はは、随分と舐められたものだなぁ」

『でも否定せぇへん所、分かっとるやろ。
現世にいる妖より、この世界の妖の方が達が悪い。
ぎょうさん妖怪は居てはるし、
さっきみたいに群れで来られたらひとたまりもない。
まず、幽世の空気も瘴気が常に漂っとる。

神には毒や』

鶴丸「まあな。確かにきみと一緒に
居たほうが都合は良さそうだ。
きみは瘴気を取り込むような妖ではなさそうだしな。

珍しいものを見た。大抵妖怪と言うのは
瘴気を取り込んで力とするが………」

そう、先程から不思議に感じていた。
黒蛇を焼き払った時、
共に空気に漂う瘴気も彼女は燃やし尽くした。
さっきまでの頭痛が嘘のように直ってしまったし、
今共にいるだけで、彼女の周りは自然と
瘴気は無効化されているらしい。

妖だと言うのに、清浄な雰囲気を纏った鬼だ。
こんな妖もいるとはな………
彼女はそこらの妖怪や時間遡行軍とは
全く違う類の存在らしい。

『ｸｽｸｽｯ………兄さん、分かっとるやん』

鶴丸「それに、きみと居たら退屈しなさそうだ」

『ふふ、なるべく期待には答えたる』

鶴丸「………となれば、
しばらくミシャクジ様の社とやらを
探す旅となるのか」

『まあこの幽世は現世で言う一つの藩………
あー、今は“県”だったかな？の広さやからな。
数日か、遅くて数ヶ月位の旅になるなぁ』

鶴丸「ならしばらく厄介になるぜ」

『…………うちも暇やったからなぁ。
よろしゅうな、鶴の兄さん』

こうして妙な世界で、

鬼と付喪神と言う妙な組み合わせの、

旅が始まった。

鶴丸side〜end〜