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参拾壱 ページ33

鶴丸side







やれやれ、墓穴掘ったなA………
落ち込む山姥切とあたふたする
Aの姿を見ながら、俺は先を見る。

桐ノ都から離れ、今は再び林の中を歩く俺達。
こんな調子で本当にミシャクジの社辿り着くのか?
いやそれよりこの世界から脱出出来るのか。
見れば見るほど気味の悪い世界だ。
朝日が差すこともないこの世界で、
良くもまあ過ごせれるな。


日が遠くなっていくような気がしてならん。
夜となれば俺は夜目が効かなくなるから
余計に心配だ………









鶴丸「そろそろ休みたいところだが………」

『ん、なら野宿?』

鶴丸「きみは仮にも女だろう」

『仮ってなんなん………』

鶴丸「山姥切、体の調子はどうだ」


切国「俺も少し休みたい。流石に今まで
まともに休めれていないから疲れた………」


鶴丸「だろうなぁ。休むとしよう」


『ならうちの火、貸したる。妖魔は火に弱いねん。
一晩焚いとけば妖魔は近寄らんよ。
結界にはなるで』


切国「あんたこそ妖魔だろう……」


『うちは焔の鬼やからなー♪
なら適当に薪でも集めて来るで。

兄さんらは座っとき』


鶴丸「あまり離れるなよー」

『ご忠告どーも』









いやいや、女が野宿するのはどうかとは思うが、
彼女が居なきゃ俺達は
仲良く妖魔の腹の中行き………

気が引けるが致し方ないな。


何て思いながらようやく俺は座る。
ずっと気を張っているのも疲れるな。
老体には堪えるぜ。









鶴丸「ハァ………ん?」

切国「どうかしたか?」

鶴丸「いや………俺の手の甲に何か書いてある」









その時、俺が手袋を外すと、
俺の手の甲に見覚えのない模様………
文字が書かれていた。

??何だこれ………数字の“壱”?


手の甲に刻まれた数字。
それは刃物で切り刻んだようなもので、
血が滲んでその数字を表していた。

だが不思議と痛みはない。
鮮血が流れ出るような感じもない。
いつの間に?見覚えが無いぞ。









切国「あんたにもあるのか」

鶴丸「!その口振りだと、きみにもあるのかい」

切国「嗚呼。俺は“伍”だ」


鶴丸「………関係ない訳ないよな。
俺ときみには共通する何かがあるって事か?」


切国「分からない。ただ、あんたと俺の
数字の間が飛んでいる………

もしかすると他にも居るんじゃないか?
俺達と同様に、この世界に迷い込んだのは」









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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年6月20日 10時

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