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弐拾捌 †地獄への道のり† ページ30

Aside









鶴丸「記憶が無い?」


切国「嗚呼、実はこれまでの記憶が
全く思い出せないんだ。

自分が“山姥切国広”と言う存在である事、
どこかの本丸に居た、と言う知識しか無い。


気がついたらここに居たんだ」









切国の兄さんはそう言って、
これまでの経緯を語った。

これは鶴の兄さんと同じ状況って事を示しとった。
付喪神はこの幽世の世界だと記憶が消えるって
言う規則でもあるんかな。


“前の付喪神”もそやったけど………









切国「それで情報を得ようと彷徨っていたが、
瘴気に当てられ、満足に体が動かない時に
あの妖怪共に捕まった………」



鶴丸「俺と同じか………」

切国「?同じだと?」



鶴丸「嗚呼、俺もこれまでの記憶が
綺麗に抜けてしまっていてな。
自分が“鶴丸国永”の分霊で、どっかの本丸に居た、
と言う記憶しか分からないんだ」



切国「そう、か……それで、彼女はなんだ」



鶴丸「彼女はAだ。俺を助けてくれてな。
現世に帰るために協力して貰っている。

安心してくれ、味方だからな」



切国「何でまた………」

『暇やから?』

切国「………妖魔らしい答えだな」



『まあまあええやん。

…………で、結局本体の刀の方は
鎖で抜けなくなってるのはそのままなんやな』



切国「そうだな」









うちは切国の兄さんの本体であろう刀に目をやる。
そこには未だに鎖にて縛られたままの
刀剣がそこにはあった。

どうやら刀剣の方の鎖は
あのモジャモジャ妖怪の力で
縛られた物ではないらしい。


そりゃ神とは言え、あんな妖怪に
捕まってまうわなぁ。









切国「あんたの言うこの幽世で気が付いた時には
既に本体はこの状態だった。

………俺が写しだからか、あんな妖怪に
簡単に捕まったと言う訳だ」


鶴丸「いや、写しは関係ないと思うぜ………?
ともかくきみもここから出て本丸に帰りたいだろ。
記憶も途中で思い出すかも知れないし、
帰れば元に戻る可能性だってある。

ここは協力しないか?
この幽世は俺達にとって、かなり生きづらいからな。
一振りになった方が危険だ」









弐拾玖→←弐拾漆 ‡武器を失った神様‡ 終



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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年6月20日 10時

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