＊白き焔に雪降りの舞を＊ (ページ23)

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弐拾壱ページ23

Aside

『(今の内に檻を何とかせなな………)』

全く………うちがあの妖怪を相手した方が
兄さんが檻を切るだけでええのに………
戦うのが嫌いなうちに気を遣わせてしもうた。

兄さんの優しさからやろうが………

切国「…………！あんた、さっきの」

『しー。今出したる。

手加減は苦手なんよ、ちょっとだけ
後ろに下がっといてな』

切国「何故来たっ。もうすぐあそこで
争っている妖怪共がこちらに来るぞ」

『祭りを引っ掻き回すんのも、面白そうやん？』

シャッ！と、うちは爪を伸ばし、
檻に向かって腕を振り下ろした。

すると木の檻は焼き切れて、簡単に破壊できた。
うんうん、燃え広がらんで良かったわ。

『うち、Aって言うんよ。
切国の兄さん、生きる気あるんやったら
そこの本体持って、うちらのとこ来ぃや？』

切国「！」

『ちなみにお礼やったら鶴の兄さんにな？
うちは気まぐれに手ぇ貸しただけやから』

切国の兄さんは、少し迷うような仕草を見せた。
迷う理由が一体どこにあるのか………
いや、兄さんなりに何か思う事でもあるのやろう。

けど折角鶴の兄さんが身を張って助けようとした。
こんな事でむざむざ死なせるような事は
うちもあまりしたくはない。

そんなうちの意思が通じたんかは知らんけど、
切国の兄さんは意を決したように、
鎖に繋がれまま本体を持ち出して神輿から降りた。

『後はその鎖やね。うちから離れんといてな。
瘴気にまた当てられてまうよ』

切国「…………自分の身は自分で守る。
女に守られるほど、落ちぶれてはいないからな」

『わ、頼もしいわぁ。
なら援護はしてあげるよ。無茶はせんといて』

切国「その………助かった」

『お礼はええよって』

切国「助かったのは、本当だ」

『ふふ、まあ………どういたしまして、やな、

事情は後で聞いたる。
その前に兄さんの鎖を外すのが先や』

切国「嗚呼、分かった」

さてさて、あの妖怪をこてんぱんにして、
鎖の解除をさせるか、方法を吐かせなあかんな。

あんまし力を使うと疲れるから、嫌なんやけどな。
………鶴の兄さんは無事やろか。

Aside〜end〜