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拾参 ページ15









妖怪1《お、そこの白いあんちゃん!
お一つどうだい?》








都に踏み入ると、ふとそう声をかけられた。
声をかけて来たのは牛頭の妖怪だ。
妖怪の手には一瞬焼き鳥見たいな
串焼きが握られており、俺に勧めてくる。

………が、手に持つ串焼きは鶏肉では無かった。
具体的に詳しく話してもいいが………
こいつは、あまり分かりたくないな。
どう見ても人肉………なんだが。


俺は思わずAを見た。
不敵に笑ってみせるA………

こいつ、はかったな………
なる程、“黄泉戸喫(よもつへぐい)”をしない代わりに
獲物は妖魔らしいもの、か。


人間だったら発狂ものだな。趣味が悪い。









鶴丸「ッ………」

妖怪1《?兄さん、どうした?》



鶴丸「い、いや………有り難いが、生憎一文無しでな。
それはそうと、聞きたい事がある。

これからミシャクジ様が
祀られた社に行きたいんだが、場所を知らないか」


妖怪1《ミシャクジ様のお社ですかい。
はー、物好きなお客だなぁ。

すいやせんなぁ、わかりやせん。
自分は一妖怪です故》


鶴丸「そうか………すまんな、ありがとう」









『クフッ………ふふふっ……!
兄さん、刀の付喪神の癖に………
人肉駄目なん?』


鶴丸「おいおい、俺はただ斬るだけの
道具に過ぎないぞ………

あんなバラバラに斬り刻むような事は、
主がイカれてない限りない。
というか、人肉は焼かん…………
ったく、こんな驚きは御免だな」


『イカれてたら斬ってた?』

鶴丸「そうだとしても、俺は一気に斬り込む派だ」

『(そこは刀思考なんや……)』

鶴丸「きみも人肉を喰らうのか………?」



『まさか。人肉食べとったら、
とっくに兄さんを食っとったよ。

うちは食事は要らんねん』


鶴丸「なんだ、人肉を食らっている妖怪は
神も喰らうのか?」




『“力が欲しい”もんは喰らう。
妖は元より人間の“闇”から生まれる。
だから妖にとって人間は“栄養”がある。

沢山喰えば“神格化”する程の
大妖怪になれるからなぁ。
この世界は至って単純…………強い奴が統べる。

弱い者は従うしかあらへん』









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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年6月20日 10時

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