+参拾弐+ ページ34
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『何故そのようなことを?』
山崎「あ、いや……」
『??彼が何かしたのですか?』
山崎「………」
そう問うと、山崎さんは黙ってしまう。
何か神妙な顔で考え込むようで、
しかし彼の細い目には迷いがある。
何かを躊躇っているような気がした。
『山崎さん?』
山崎「……いや、やはり言って置こう」
『?何でしょう』
崎「単刀直入に言うが………
“楠小十郎”には、もう関わるな」
『……は?』
何を言っているのか分からなかった。
何故山崎さんがそんな事を言うのだろう。
しかも、彼の事を“楠小十郎”と言った。
何故彼をそんな風に呼ぶのだろうか。
それではまるで……
『ッ!……まさか』
山崎「………」
『“間者”……とでも仰るのですか?』
山崎「具体的な事はまだ分かっていない。
しかし、その疑いがある。
以前、彼の字によく似た密書が見つかった。
まだ確定した訳ではない」
信じられなかった。
楠が間者?そんな筈ない。
頭の中で“裏切り”と言う言葉が駆け巡る。
絶対に信じないと言う気持ちと、
疑う気持ちが半々で………
渦巻く感情が気持ちが悪い。
『間者な訳、ないでしょう……
彼は俺の事を黙っている。
実際、噂の一つも出ていない。
それに間者だと言うなら、
既に俺の事を仲間に伝えている』
山崎「そうなんだ。しかし、俺が調べても何もない。
君の事も、何一つ噂もない……
これは少しおかしい」
『まだ断定ではないんですよね?』
山崎「嗚呼」
山崎さんの言葉を聞いて、一先ず安心した。
噂がない………それは………
彼が間者ではないと言う、
俺自身の疑いを晴らす僅かな証拠でもある。
しかし、実際はこれでは証拠にはならない。
幹部に伝えてもどうしようもない。
俺自身がバレるだけである。
『……山崎さん、お願いがあります。
その任務、俺にもやらせてもらえませんか』
山崎「……察したら、頼もうとした所だ。
利用するようで悪いが………」
『いくらでも利用してください。
俺は、彼の疑いを晴らすだけです』
山崎「フッ……助かる」
そう言えば、山崎さんが少しだけ笑ったように見えた。
Aside〜end〜
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^3^ - 他の作品も読ませてもらっています。いつも楽しみにしているので頑張ってください。応援してます。 (2020年6月20日 2時) (レス) id: bc8dc475f2 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 読みやすいように改善いたしました!時間があるときにまた他の章を改善していきます (2019年7月11日 9時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - アキラさん» 一票いただきました!アキラさんコメントありがとうございます!大人組ですね…………まさか同胞がいたとは!←私もあの二人が推しなんですよ!ありがとうございます!ごちそうさまです←← (2017年4月25日 8時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 原田が一番次に土方やってほしいです (2017年4月25日 7時) (レス) id: d018642a1d (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 只今語り部受付中…………ww (2017年4月25日 7時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2017年4月3日 0時