†捌佰肆拾玖† ページ20
Aside
シャンッと、鈴の音が鳴り響く。
それと共に分厚い雲に覆われていた空から
わずかに月明かりが照らされた。
ｿﾊﾔ「よしっ！かかったぜ！」
大典「辺りの敵を近づけさせるな！」
舞を始めると、首から下げた翡翠石、
懐に忍ばせていた手鏡、白山様の剣が
ほのかな温かみを帯び始めた。
同時に体が悲鳴を上げ始め、
呪いが必死に霊力と戦っているようで、
ビキビキと痛みが走る。
命が、磨り減るような感覚。
しかし止まってはならない。
途中で止めてはならない儀式なのだ。
陣の中にいる犬神は悲鳴を上げる。
私の命が消えるか、犬神が祓われるか。
どちらかが消えるまでは、終われない。
犬神《アァアアアァァアグァオォアアッ！！》
『ｸｯ………ぐっ……！』
心臓を、直接握り締められているみたいだ。
息も、詰まる………それでも止めてはならない。
白山様………ごめんなさい、
思ったよりも無茶をさせてしまう。
その時、犬神に変化があった。
ドロドロとその姿を変えたのだ。
黒いヘドロだった。
ボコリと時折気泡が出来て
破裂するを繰り返しながら、
グチャリグチャリと粘着質な音を立てる。
そこから溢れ出るのは、まるで死の液体。
そのヘドロがべシャリと地面に落ちると、
陣の中にあった植物が、一瞬で枯れた。
その光景を見て、改めて理解した。
“これ”は神なのだと。
絶対的な神たる者なんだと。
これが
死を司る、呪いの神。
そこに居たのは古事記などにも
記載される事も許されない、
恐ろしい神の姿だったのだ。
思わず怯みそうになる。
『(集中、しな、きゃ)』
神を、祓えるのは………私だけ、なのだから。
その時だった。
バチンと電流が走ったように、
頭の中に何かが流れ込んで来た。
この感覚、知っている。誰かの記憶だ。
でも誰の？
まさ、か。
『(犬、神………の？)』
犬神の、記憶の一部？
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冷泉 雪桜(プロフ) - 冬夜さん» 返信が遅れました。コメントありがとうございます。新作の方も是非楽しんで読んでいただけると幸いです！ (2020年5月31日 9時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冬夜(プロフ) - 何て綺麗な話なんでしょう…。思わず泣いてしまいました。鶴さんが紅羽と夜蝶の二人と一緒に逝けてよかったなと思いました。作者様、本当にお疲れ様でした。新作も読ませて頂きたいと思います。 (2020年5月23日 4時) (レス) id: 5a89a411ed (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 華音さん» 主人公も名前固定となってきます。注意書きを忘れてましたね、申し訳ないです。追加で記載しておきます (2020年5月5日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 華音さん» コメントありがとうございます。次作はあくまでも“刀剣”の視点となります。なので容易に真名を出すわけにもいかないので基本的に変換はないですね (2020年5月5日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - 質問なのですがこの縁結びシリーズに続く新作では審神者名としては九重ですがせっかく燭台切と結ばれ恋仲になったので名前の変換とかはないのでしょうか？ (2020年5月5日 20時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年4月25日 21時
