†捌佰肆拾捌† “運命を覆す” ページ19
そして、本丸の裏手。
そこは小さな丘となっている。
その地面には巨大な円形の“陣”が描かれていた。
陣の前で構えるのは、神を殺す者。
神を祓う事を許された血縁者。
九重が………剣を構えていた。
舞の衣装を身に纏い、不吉な風によって
衣を翻しながら………彼女は集中していた。
その間にも彼女の体を呪いが襲っている。
シキシキと、軋むような嫌な音を立てながら、
ついには彼女の首や顔にも
犬噛み憑きの呪いの痣は広がっている。
それに抗おうとするほど、
彼女を蝕む痛みは鋭くなっていた。
『……』
燭台「主、大丈夫？」
『何とか。犬神の様子は？』
長谷「ここからは分からんな」
『そうですか』
燭台「ｯ……」
鶴丸《光坊、大丈夫かい？
君も体も錆びが蝕んでいるだろう》
燭台「それは鶴さんもでしょ。
大丈夫。まだ体は動くから。
それに鶴さんの方が酷いんだ。
身を投げ出すような事は止めてね」
鶴丸《変わらんなぁ君は》
燭台「ちょっと鶴さん？僕本気で心配して、」
鶴丸《はっはっは。いや安心したんだ》
切国「！見えたぞ！！犬神がこっちに来ている」
その時、呻く災厄はやって来た。
黒の獣は血のように赤い眼光の尾を引きながら
こちらに走ってくる。
松明によって明るく照らされた丘にて、
獣の全貌がよく見えた。
獣は前足の片方を失っていたままであった。
折れて消えてしまった面影の大太刀によって
切り落とされた犬神の前足は
回復はしてはいなかった。
犬神は腹を突き刺してくれた
脇差の刀剣男士を恨めしそうに
追いかける姿が見える。
そして前方に九重達の姿を確認した脇差達は
少し安堵した表情と共に声を上げて陣の周辺で
待機していた仲間に呼びかける。
堀川「主さんっ！！」
籠手「後はおまかせします！！」
肥前「喰らいなクソ犬！
そんなに腹減ってるなら、
自分の目玉でも………しゃぶってな！」
浦島「俺も虎徹だ！虎さんなめんなー！」
ザシュッ！！
犬神《グァアアァァアッ》
もうすぐ陣までたどり着く瞬間を見計らい、
肥前と浦島は飛び上がり、
犬神の両目を切り裂いた。
犬神は視界を奪われ、そのまま陣の中に
飛び込む形で体制を崩し、倒れ込む。
陣に犬神が入った瞬間、
描かれていた陣が燃え上がる。
『(終わらせる。必ず。
だから父さん、黒田、皆。
私を、守って)』
not,side〜end〜
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冷泉 雪桜(プロフ) - 冬夜さん» 返信が遅れました。コメントありがとうございます。新作の方も是非楽しんで読んでいただけると幸いです！ (2020年5月31日 9時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冬夜(プロフ) - 何て綺麗な話なんでしょう…。思わず泣いてしまいました。鶴さんが紅羽と夜蝶の二人と一緒に逝けてよかったなと思いました。作者様、本当にお疲れ様でした。新作も読ませて頂きたいと思います。 (2020年5月23日 4時) (レス) id: 5a89a411ed (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 華音さん» 主人公も名前固定となってきます。注意書きを忘れてましたね、申し訳ないです。追加で記載しておきます (2020年5月5日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - 華音さん» コメントありがとうございます。次作はあくまでも“刀剣”の視点となります。なので容易に真名を出すわけにもいかないので基本的に変換はないですね (2020年5月5日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - 質問なのですがこの縁結びシリーズに続く新作では審神者名としては九重ですがせっかく燭台切と結ばれ恋仲になったので名前の変換とかはないのでしょうか？ (2020年5月5日 20時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年4月25日 21時
