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†漆佰漆拾玖† ページ40









鶴丸「夜蝶が、最期に言っていた………
その赤子だけは、守り通してくれ、と」


ツムグ「夜蝶、が?」



鶴丸「だが………俺が背負おうには
あまりにも重い物だ。

約束を、したんだ………
夜蝶との約束を、俺は守らなければいけない」



ツムグ「………お待ちください。
邪神、犬神は夜蝶が死んだことで
紅羽の体を器としてしまった。

次に狙うのは血縁の者。つまりこの子です。
夜蝶と紅羽が命がけで守り抜いた子なんです。
しかし俺は桜真の中でも
比較的力が弱い…………

正直、守り抜くには些か無理があります」



鶴丸「………」



ツムグ「勿論守ります。命を懸けて。
ですがもし………もし力を貸していただけるなら、
どうかこの子を見守ってくれませんか?

“七つまでは神の内”………
七つになるまで人の子は妖と言った類から
身を守るには力が弱すぎる。


お願いします、どうか、どうか!!
夜蝶が残した命を、お守りください!」









必死に頭を下げた。
おそらく彼は、夜蝶からこの子を守るように
願ったのだろう………

彼女がそこまで信用していた神であれば、
この願いを叶えてくれる。
賭けではあったが、俺が今まで相手にしていた神と
これまでとは違う。


あの邪神は、俺でも抑えられない。
邪神からこの子を隠すのに精一杯だ。
守りきれない………


勝手な願いだとは重々承知している。
でも俺はもう二度と失いたくない…………

死なせたくない………

ただ愛する者には、生きていてほしい。
どんな事だって、願いはそれだけだと言うのに。









鶴丸「………良いだろう。
七つまでは、傍でその子を守ろう」


ツムグ「!!本当、ですか?」


鶴丸「夜蝶が守ったなら、守る義務があるからな。
………本当に、君達人間は……」


ツムグ「?」


鶴丸「………いいや、何でもない」






───────────────








ツムグ「よしよし、ほら父さんだぞー!」

『ああうー!ええへへへー!』









嗚呼、何て可愛いんだろうか。
俺は己の腕にすっぽり収まって、
きゃっきゃっと笑うこの赤子が、
いとおしくて堪らなかった。

子供が今まで出来なかった俺は、
この上なく嬉しくて、嬉しくて。


ついつい赤子の頬を触ってしまう。
嗚呼、愛しい子………愛しい子。





俺が父親となる。

必ず守る。必ず愛する。

俺が傍で………守ってやるからな。

†漆佰捌拾†→←†漆佰漆拾捌†



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(プロフ) - 鶴さんが健気…どうか報われますように (2020年4月12日 14時) (レス) id: e2c5fada44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年3月31日 14時

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