【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ33)

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†漆佰漆拾弐† ページ33

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すると加州様はふと穏やかに笑って見せて、
朱鷺が去っていった方角を眺める。

優しい眼差しだった。

加州「あの人、人らしくなり始めたんだ。
これってやっぱり良い事なんだよね。

嫉妬しちゃうよ、本当に」

“仕方ないから、俺が守ってやってんの”

それは、とても………とても穏やかで、
そして愛おしい声音。
朱鷺が………愛されていると、知った。

嗚呼、朱鷺。お前は自分を卑下するが、
お前が気づいていないだけで………
お前を愛する者がちゃんといる。

やはり姉さんの子だ。
愛された姉さんの子供だ。

ちゃんと分かってくれている仲間が、
お前にはちゃんといる。傍にいる。
たった一人の、俺の家族。

良かった………ちゃんと愛されているんだな。
心から安堵した。これで、少しは報われただろうか。

姉さんも、朱鷺も。

ﾂﾑｸﾞ「(家族が…………健やかで、ありますように)」

しかしその祈りが、届くことは無かった。

───────────────

俺に何が出来たのだろう。
何が間違っていたのだろうか。
まさかこんなことになるなんて……

運命は気まぐれに、人に災いを振りかける。

ﾂﾑｸﾞ「紅羽！！………ﾊｧﾊｧ………！
紅羽、どこにいる！？返事をしてくれ！！」

ある日、ボロボロになっていた紅羽の“式”が
事態を知らせに俺のところまで来て、
俺はすぐさま本丸に向かった。

朱鷺の式は鳥型だが、その式は俺の所まで来て、
力尽きたのか消えてしまった。
その光景を見てから嫌な予感がしていた。

嗚呼どうか、どうか無事で………
神様、神様、神様、かみさま。

家族をどうか連れて逝かないでくれ。
姉さん、貴方の子をまだ連れて逝かないでくれ。

今度こそは上手く行くと思っていた。
ようやく姉さんと朱鷺が報われたと、
そう思っていたのに。

ﾂﾑｸﾞ「ﾊｧﾊｧ………うっ………ｸﾞｽｯ……
頼、む………逝くな、逝くな！！

返事をしてくれよ！頼みからぁあ！！
生きているならっ！紅羽っ！！」

何があったのかは分からない。
その日の本丸は強力な結界により、
中に入る事は許されず、
中で何があったのか分からなかった………

結界をようやく破って中に入って、
不安になりながら、泣きながら………
紅羽と夜蝶を探す。

そしてその時に見た光景は
あまりにも残酷なものだった。