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†漆佰陸拾肆† ページ25









『ウッ………』

??《お、目が覚めたか?大丈夫か?》

『…………?』







気がつくと、いつの間にか私は
和室で横になっていた。
私の体には布切れが被せられていて、
私の目覚めと共に、安堵の言葉が降ってきた。

虚ろな目で見上げると、そこには長身の男性がいた。
………気配が、違う。人間じゃない、な。









『だ、れ………』


??《?やっぱあんた俺が見えてたんだな。
俺は“御手杵”だ。三名槍の一つ。
ここはあんたの家か?》


『………知り合い、の』


御手《あー、なら悪いことしちまったなぁ。
良いねぐらだと思って勝手に入っちまってたよ》


『………いい、ですょ……ここの、家主はとっくに
なくなってます、から……』


御手《そうなのか?ならありがたいが………
あんたはそんな体で何しにここに来たんだ?》


『私、は……九重。ここに残された資料を、
調べに来ま、した…………

後、身を隠す場所として、
しばらくここにいるつもり、でした』









私は体を起こして、その人を見た。
三名槍………槍?ならば彼も刀剣男士だろうか。

不思議だ。自然の空気を身に纏うような、
そんな気配だ。例えるなら風。
穏やかな風のような、刀剣男士。


しかし何故現代に?まさか………









『貴方は、野良の刀剣男士?』


御手《んー、まあそんな所だなぁ。
何があったのか、本丸に帰れなくなっちまって。
かれこれ50年くらい彷徨ってるなー》


『………そう、ですか』









50年………確か青江様と博多様も
それくらいの年月を送っていたような気がする。
彼らは同じ本丸の刀剣男士だったのだろうか。

いやそれよりも、ここに居たら
呪いで彼も巻き込んでしまう。
ねぐらにしようとしていた所悪いけど、
離れてもらわないと。


今でも脈立つように背中が痛む。
傷がまるで生きているように、
ドクドクと熱を帯びて、
心臓へとじわじわ痣を伸ばしていく。

誰も死んでほしくない。









御手《刀剣男士を知っているなら、
あんたは審神者なのか?》


『………ええ、でも理由があって、
今は本丸を離れてます』


御手《………背中のそれか?》

『!!さ、触ったんですか!?』


御手《え?いけなかったか?
怪我とかないか見るには
剥がさなきゃ見れないだろ?》


『いや待ってください、剥がした!?えっ!?』









色々とアウトなんだが!!

†漆佰陸拾伍†→←†漆佰陸拾参†



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(プロフ) - 鶴さんが健気…どうか報われますように (2020年4月12日 14時) (レス) id: e2c5fada44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年3月31日 14時

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