†漆佰陸拾弐† “忘れ去られた物” ページ23
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稲荷《ククッ………さて、だが今の現状では
九重は危険な状態だろう。
あの呪いは辺りの者にも影響が出てしまう。
精神的にも弱らせて行き、
呪いの進行を早めようとしている。
幸いにも九重には呪いの耐性があるから
まだ動き回れる程の体力はある。
が、それもいつまで持つか。
彼女は君達が思ってるよりも心は壊れやすい》
ふぅと、キセルを吹き………
漂う煙を眺めながらそう伝えると、
彼らの表情も固くなる。
まあ危険な状態には変わりないから当たり前か。
稲荷《先も言ったように、
私は縁結びと豊穣を司る神。
祓う術を持ってはいない。
彼女を救うには、彼女が桜真の舞………
祝ノ舞を舞うか………あるいは
犬神を倒すかの二択だね。
だが知っての通り、犬神の爪は
全てを葬る滅びの鉤爪。
君達が攻撃を受ければ………たちまち君達は
錆びて朽ちてしまうよ?》
伽羅「………今更だ。俺はその犬神を斬る為に
何度も折れて、やり直したからな」
燭台「………」
稲荷《そうか。ならば覚えて置くといい。
犬神を討つならば、相応の覚悟を。
私に出来るのはここまでだよ。
これ以上一人の人間を深追いすると、
大国主になにを言われるか
たまったものではないからね………
記憶を……縁を辿れ。
そうすれば自ずと運命の輪は回る。
健闘を祈っているよ》
稲荷神side〜end〜
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Aside
『…………ケホッ』
シキ《なぁおん………》
『………?し、き……』
朦朧とする意識の中で、私は目が覚めた。
いつの間にか眠っていたみたいだ。
ここは………嗚呼そうだ。
黒田の家に着いたんだった。
床が冷たい。玄関先で倒れて、
動けなくなったんだった。
体力が奪われていくような感覚。
疲れやすくなってるのかな。
凄く、体が重い。
猫のように蹲って寝ていたからか、
ちょっと体が痛い。
うっすらと重い瞼を開ければ、
私の式が珍しく心配そうに、一声鳴いて、
私の冷たくなっていた頬を舐めてくる。
『………勝手に、出てきたの、か……』
シキ《………》
『ぅ………(力が、入らないや)』
玄関は寒い。
せめて、もう少し中に…………
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慧(プロフ) - 鶴さんが健気…どうか報われますように (2020年4月12日 14時) (レス) id: e2c5fada44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年3月31日 14時