【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ2)

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†漆佰肆拾壱†【縁の章】ページ2

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『ﾊｯ……ﾊｧ…………ﾊｧｯ！』

シュッと、胸辺りの服を、
思いっきり握りしめる。

脈打つ心臓を、鷲掴みにして
この鼓動を抑えたい一心だった。

父さんは、今まで父親だと思っていた人が、
私の、父ではない？

信じられない。

この父の筆跡であろう文章には、
まるでこの本丸の前任二人が
私の誠の親だと言いたげな物。

皆、を………苦しめていた、二人の娘？
でも二人は既に死んでいる。
一体私が、どうやって生まれたと言うの？
もしもそうなら………顔も知らない母親が
夜蝶さんだとしたら、彼女を手にかけてしまった
山姥切様は気づいている筈。

でも彼は何も言ってなかった。

妊娠してるなら、皆だって知っていた筈！！

『ﾊｧ………ﾊｧ……ｯ…………！』

こん《さ、審神者、様》

『そん、な筈………ある、訳が……
父さんは何も！何も言っていない………！

何、も…………』

そう。何も………父さんは何も言わなかった。

更に頭を鈍器で殴られたかのように、
衝撃を受けた。頭が割れるように痛い。
息が、上手く吸えない。

何故、何故？どうして、どうして………

ミヂッ！と、背中と足の古傷が脈立ち、
軋んだような感覚がした。

その瞬間、殺気を感じ取る。
凄まじい邪気。邪気と言う黒い巨大な手が、
私を握り潰すような、恐ろしい気配。

あの邪神に………犬神に。
睨まれているような…………
獲物を見る獣が、驚異が、背後にいるような。
そんな幻覚を見たような気がした。

長義「………忘却の術が、僅かに解けたみたいだな」

『ｯ……！』

こん《………》

長義「これで君の体は呪いによって蝕まれていく。
呪いは古傷から心臓に伸びていく。

呪いが心臓に着いたら最後だ。
その瞬間に君は死ぬ。
そして死んだ君の骸は、邪神の新たな器となる」

『ど、う………したら、いい？』

長義「解く方法は俺にも分からない。
ただ、真実を知れば………」

『真実、を………』

その真実とは………一体何だろうか。
本丸に隠された私の秘密。

確かに傷は12の時に妖怪にやられた物だ。
あの時の妖怪が、犬神だったと言う事？
分からない………分からないよ。

私は、本当に死ぬの？