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†漆佰伍拾玖† ページ20









ツムグ「しかし………最近になって
従兄弟を襲った邪神が現れ………

娘を、襲いました」


稲荷《………何?》


ツムグ「まだ12だと言うのに、
背中から足にかけて、まるで獣の鉤爪のような
傷が残り………その傷が元で呪いを受けました」


稲荷《邪神の呪い、か。邪神の名は?》

ツムグ「犬神です」









“犬神”か。

確か平安の頃に生まれた
下級妖怪が転じて神格を得た神…………
社は持たず、信仰もあったが為に、
ただ災厄を招くだけの邪神と成り果てた神。

先程清水で清めていた邪気は
その犬神であるとすれば納得はできるな。



しかし、所詮は下級。
だと言うのに、先程の邪気の濃さは尋常ではない。
下級の神であれば専門外の私でも
鎮圧する事は可能だが………

しかも信仰が薄れた現代だ。
犬神も信仰が薄れ、力は弱まった筈。



…………何者かが意図的に犬神を
利用しているようにしか思えない。









ツムグ「お願いします、娘を助けてください!
あの呪いは人間の手ではどうにもなりませんっ」


稲荷《難しい相談だな。

我々は人に時に善を、
時に悪を与えなければならない。
それは我々が見える君が一番知っている筈だがね》


ツムグ「そこを、何とか出来ませんか。
もう、自分一人では………
自分の友人は桜真の血縁者でないにも関わらず、
無茶をしてようやくその神を祓ったのです。

その代償に命を落とした。


しかし、………それでも、あれは時間稼ぎに過ぎない。
器が見つかれば直ぐにでも“奴”は復活します。
どうか……………」









………私達は誰のものにもならない。
等しく、平等に………神々は人に加護を授ける。
例えそれが災厄でも。

神はそうで無ければならない。
だが………








稲荷《………》

ツムグ「ッ………」









改めて………人の目を見た。
久々だった。人は私が見えていない。
見えない相手に彼らは行き場のない救いを求める。

だが、彼は違う。
私をその目に写し、真っ直ぐと私を見た。
”私“に、彼は助けを求めていたのだ。

救える者が、目の前にいる。









稲荷《………ハァまったく、これだから人は》

ツムグ「ぇ………」


稲荷《ふふっ………
そんな迷子見たいな顔をしないでくれ。
守りたくなるじゃないか。

(これだから人は、可愛い)》









人を嫌いには、やはりなれないよ。私は。

†漆佰陸拾†→←†漆佰伍拾捌†



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(プロフ) - 鶴さんが健気…どうか報われますように (2020年4月12日 14時) (レス) id: e2c5fada44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年3月31日 14時

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