【刀剣乱舞】その神、縁結びを望む者

†漆佰参拾参† ページ34

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燭台「僕もだよ、主。
君の事を知れて良かった。

会えて良かった。
じゃあ、僕達は行くから」


『！！』









嗚呼、行ってしまう。
今度こそ行ってしまう。

皆がお家の玄関から出ていく姿が
やたらゆっくりに見えた。


行ってしまう。行っちゃう。
でも、我慢しなくちゃ。
我慢しなくちゃ、いけない。









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･









『行っちゃ、やだ………』









12歳Aside〜end〜
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燭台切side








主の家を後にしようとした時、
何かに引っ張られる感覚がした。

振り返ると、主が僕の服の裾を掴んでいた。
“行っちゃ嫌だ”って、言いながら………








燭台「あ、るじ？」


『未来、に………帰っちゃ、やだ。
ここに居て、行っちゃ、嫌だ』


燭台「えっ」


『未来の私の所、に………行かない、で』









ぎゅっと、僕を離さないように
強く僕の服を握り締めている。

カタカタと震えていた。
声も頼りなくて、泣き出しそうだった。









『……………なんて、ね』

燭台「？」


『ごめんなさい。言ってみたかっただけなんです。
我儘、言ってみたかっただけ。

でもやっぱり、我儘を言うのは私出来ない。
我慢した方がやっぱり、良い。
心から痛くなる』









そうか。僕達が居なくなったら、
この時代の主はまた、独りになってしまうのか。

僕はようやく理解した。
寂しいんだ………本当は凄く凄く。


主は何でも抱える癖がある。
それは僕も言えることじゃないけど、
主はこの頃からずっと我慢していたんだ。

本当は泣き虫で、甘えたい筈なのに。
だってまだ数えて12の子が、
一人でこの広すぎるお家に独りなんだよ？


寂しくない筈がない。



でも甘え方が分からないんだ。
それが凄く、心に残った。

僕は小さな主を抱きしめた。
主はびっくりしたのか、体を強張らせた。









燭台「………今だけだから」

『……ぇ』


燭台「また、会えるよ。僕達は。
だからこうして会いに来たんだから」


『！！』


燭台「君は賑やかな家の主になるよ。
静かな時なんか無いくらい、
賑やかで、楽しい家の主に。

だからそれまで待って？
そして今度は、僕達に君が会いに来て。


僕達はずっと待っているから」









“始めまして、仮ではあるけど
ここでお世話になります、審神者です”


“僕は燭台切光忠。よろしくね”









未来で、待っているから。



燭台切side〜end〜

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