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実弥さんは次の日になっても目覚めなかった。
私は彼の家で泊まり込みで彼の看病をしていた。
流石に許可なく泊まるのは気が引けたが、状況が状況である。










『(実弥さん、今日は割と涼しいです。
風があって、気持ちがいいですよ)』


「………」










話しかけるように、心の中で彼に呼びかける。
勿論返答があるわけじゃないが、
私に出来ることなんて少ないのだ。
例え声が出なくても、言葉がなくても。
呼びかけ続ければ、目を覚ましてくれるかも知れない。

そして、私の祈りが届くかも知れないから。


─────────────────────


部屋の掃除に、洗濯物、縫い物などなど、
自分に出来ることを熟していく。










『(あ、体………体拭かないと……)』











そこまで考えて、少し戸惑う。
………い、いや、これは必要な行程だ。
衛生的にも体に関わってくることだし………

意を決して、彼の体を吹くために
お湯と手拭いを用意して、準備を整えた後で
彼の着物に手を伸ばす。


躊躇いながらもスルスルと彼の着物を脱がせていくのだが、
非常に目のやり場に困り果てた。
しかし、そんなものは次の瞬間には、消え去っていた。





傷跡が、こんな、にも………
彼の体に刻まれていた傷跡は、私が想像していたものとは
比にならないようなものだった。

こんな、傷で………
生きていたのが奇跡にも思えた。
どれ程の死線を潜ってきたのか、
常に死と隣合わせの世界で、
家族と人を守ろうと藻掻いていたのか。












『(………遠い、な)』












貴方が遠い存在に思う。
私とは比べ物にならない、茨の道を歩いていた彼の、
幸せを願ってやまなかった。

漆→←玖



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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年7月1日 1時

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