拾伍 ページ17
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翌日。天元さんに連れてこられたのは、喫茶店。
喫茶店なんて、初めて入った………
最近の文化は凄まじいほど進化している。
『【こんな高価な場所に
私なんかが入っても良かったのでしょうか】』
「俺がいいって言ってんだから良いんだよ。
ついでに奢ってやらぁ。
地味な遠慮せず、好きなもん選んで食え」
そう言って、彼と彼の奥さんだという三人は、
好きなものを選んで注文していく。
喫茶店なんて初めて入ったから、何を頼めばいいかわからず、
ひとまず、まきをさんと同じものを頼んだ。
「で?どうなんだい?」
『?』
「好きなんだろ?不死川さんの事」
『!!』
まきをさんの言葉に、飲んでいた水が変な所に入って咳き込む。
ば、バレてる……!どうしてそんなことに!!
しかも反応からして、皆さん知ってる感じだった。
そ、そんなに分かりやすかっただろうか。
「ほらほら、話してみろって。
こーゆー時は、誰かに話したほうが楽だぜ?」
「そーですよ!」
「須磨、まきを、天元様も………
そんなすぐに迫っては駄目ですよ」
「!そ、そうですよね、ごめんなさい。
あ、あっ、あ!筆談はゆっくり書いてください!
待ちますので!!」
『(予想とは、ぜんぜん違うな………)』
とても、優しくて面倒見がいい人達なんだろうな。
私は最初こそ躊躇ったが、思いを文にして、
ゆっくり言葉を選び、万年筆を走らせた。
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「………まあ、確かに寿命の問題はどうにもなんねぇな」
『ッ、』
天元さんの言葉に、私は体を強張らせた。
そう、だよね。どうすることもできない………
胸が締め付けられた。涙が出そうになって、
流れ出ないように奥歯を噛みしめる。
「でもよ、お前はそれに満足してねぇだろ」
『!!』
「その気持ちに変わりねぇなら、貫けばいい。
そのままにすると、お前、取り返しがつかなくなって、
本当に後悔することになるぜ」
『………ァ、』
「要するに、後悔しない選択をしろって事だ。
あいつだって、お前を思って言ったんだろうが、
そうだとしてもお前の気持ちに変わりねぇなら、言ってやれよ。
伝えたいなら伝えろ。どんな言葉だっていい。
何だっていいんだ。それが本心なら」
『(伝え、る)』
「お前が本音を言えば、あいつもきっと応えてくれるさ──」
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年7月1日 1時