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佰伍拾参日 ページ8










しかし宇髄殿は既に、僅かではあるが呼吸が乱れ始めている。
戦略通り、体力が削れているのだ。
たが彼も私よりも体力がある為、これ以上は私も続かない。
そろそろこちらも仕掛けなければ埒が明かないな。
………一気に攻める。

私はゆっくりと呼吸を整えた。










シィィァアア









宇髄「!」

『風の呼吸──拾ノ型』

宇髄「(あれが来るのかっ。本格的に仕掛けてきやがった!)」








『【薫風(くんぷう)の息吹】──』









─────────────────────








『参ったな………あれを避けたの、君が初めてだよ』









汗だくになった顔を手拭いで拭いながら、
私は宇髄殿に声をかけた。
宇髄殿は奥方から貰った水を飲みほし、ふるりと首を振る。









宇髄「まあ、この俺だからなぁ」


『流石だよ。まさかあそこでまんまと
君の仕掛けた罠にハマるとは。
懐に入り込んだ瞬間に、逆手で刀を構え直して
私の背後を取るとは思わなかった』


宇髄「お前さんの戦略は、
敵にとっちゃ確かに非常に厄介ではあるが、
同じ戦法が維持出来たらの話だ。予想外の攻撃には弱ぇ」


『確かに。相手がこれまでとは違う形態の戦い方をされたら
継続して相手の体力を削る戦法は崩れるね。
うん、とても参考になったよ。感謝する、宇髄殿』









結果は私が負けで宇髄殿か勝った。
風の呼吸拾ノ型は私が最も得意としている技たが、
あれを避けたのは宇髄殿が初めてだった。
宇髄殿は柱の中でも最速なのかも知れない。

最後の一撃は本当に速すぎて分からなかった。
桜雲殿の最速か、宇髄の速さか。
どちらのほうが速いのだろう。少し気になるな。
下手すると桜雲殿よりも速いのかもしれない。
しかし面白い呼吸法だった。音の呼吸か。










『音の呼吸は見ていて飽きないな。
他の呼吸法を見るのが飽きたわけじゃないが、
君独自の呼吸法は華やかで面白い』


宇髄「そりゃあ俺は祭りの神で、華やかな色男だからな」


『はは、そうか』











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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年6月22日 15時

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