検索窓
今日:12 hit、昨日:29 hit、合計:6,539 hit

佰参拾壱日 ページ30

私が率いる隠達は皆優秀だ。
特に今回派遣させたのは、情報収集に特化した精鋭達。
間違えることなんてありはしない。

しかし、彼らが京都へ何をしに向かったのか、
結局わからないままであった。
京都にわざと出向き、関東地方で何か騒ぎを起こす、
といった陽動も考えて、こちらも鬼殺隊本部である
産屋敷家の屋敷を中心として護衛かつ、
捜索を行っていたものの、空振り。

なんの目的で鬼達が京都へ出向いたのか、分からない。










悲鳴「お前達が見た鬼は、何をしていた?
様子はどうだった??」


桜雲「そうだねぇ………強いて言うなら
“何かを探していた”様子だったようにも見えた。
捜索に特化したような血気術を使う鬼が多かったよ。
例えば、人が持っている記憶を頭から
文字のようなものとして具現化して引き出す、
みたいな鬼とか居た」


宇随「嗚呼、そういやそんな奴もいたな。
隊士の一部がその鬼によって記憶の改竄をさせられ、
同士討ちになりかけていた。
味方を敵だと思わせる、みたいな血気術でもされたんだろうよ。
他にも似た血気術を扱う奴らが多かった。
まあ、全部派手に頸を落としてやったがな」


『…………』


宇随「………結局、目的は全く分からなかったが、
“何かを探していた”事は間違いねぇ情報だぜ」











“何かを探していた”──
一体何を?無惨が目立つ行動を起こしたのは数百年ぶりだと
お館様より聞いた。

あれほど巧妙に姿を隠していた無惨が、
そこまでして手に入れたい何かがあるのかも知れない。
考えてもわからないことばかりだ。









『………少し興味があるのは、鬼が“恐怖”していることだね。
無惨についての情報を鬼から聞き出そうとしても、
宇随殿が言うように、やはりどの鬼も口が
裂けても言うことはない。

それが不思議でならない』


桜雲「おかしな事言うねぇ、あんたいっつも。
当たり前だろうさ。組織はそんなもんだろうよ。
上役に何されるか分からないんだから」


『確かにそうだ。それはよく分かるよ。
でも、それならば普通に考えて“解放されたい”と思う筈。
鬼とて元は人間だ。感情は根本的には変わらない。
それは私が一番良く知っている。

そのように心理的観点から、
自白するように鬼に問うてみた時があったんだ。
でも、自白する事はなかった………』


桜雲「?何がいいたいのさ」












『………鬼の間で、果たして無惨に対して
忠誠というものがあるのか、と。』











佰参拾日→←佰参拾弐日 風見鶏



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
34人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年6月22日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。