佰参拾捌日 風刺 ページ23
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中澤「以上が鴉達が集めた情報です」
『…………京都に出没した鬼の数は少ない。
が、それぞれの鬼が十二鬼月ではないとはいえ、
それなりに力のある鬼であったと………』
鴉の世話係である中澤からの報告に、私は首をひねらせた。
現在、桜雲殿と宇随殿が京都に遠征に向かったが、
二人からの報告も同じような内容だった。
ただ、下弦の鬼もいた事から、
何らかの目的で京都に向かったようだ。
基本鬼は群れないが、これは明らかに統率が取れている動きだ。
どういう事だろうか………
『分かった。報告ご苦労。
京都に向かった隠に異常はないか』
中澤「今の所は」
『そうか、ならいい。無理はするなとだけ伝えてくれ。
それから鴉をもう少し飛ばすとしよう。
今回、鬼側の動きが怪しい。
万が一の事もあるため、鴉の数を増やす』
中澤「承知しました。………あの、風柱様」
『?何かな?』
中澤「最近、休まれていますか?
その、あまり眠れていないのでは………?」
『………柱の空席を埋めなければならないね。
私は持続が効くから、然程苦ではないよ。
まあ、ある程度落ち着いたら、集中力が切れて倒れるかもな』
中澤「そ、そうなる前にちゃんと休んでください!!」
『駄目だ。今休むとしばらく動けなくなるからね。
大丈夫大丈夫、体力の燃費がいいんだ。まだ動けるよ』
中澤「そうじゃなくて!!」
中澤殿はキャンキャンと吠えるように私に叱りつけてくる。
うーん、気持ちは有り難いが、まだ大丈夫なんだがな………
確かに私は体は強い方ではない。
心配なのも無理はないが………任務は任務。
柱としての役目を果たさなければならない。
そう言っているのだが、中澤殿も負けじと私の腕を引っ張る。
中澤「うわ動かない!
体、床に張り付いてでもしているんですか!?
おーやーすーみーくーだーさーいぃぃいい!!!」
『大丈夫だってば。懲りないね』
中澤「え、マジでどうなってるんですか、
嘘でしょ梃子でも動かんのですが!?
筆を置いてください、お願いしますからぁ!!」
『うーん………』
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年6月22日 15時