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七度 ページ8












『………ぅ、』








また、首を斬られた。
そしてまた生まれ変わったのだと自覚する。
意識が朦朧としていたが、徐々に覚醒し始める。

この鬼は、首を斬られたのか……?
首が、重い。体を動かせば激痛が走ったが、問題ない。
残念なことに再生していく。


今度の鬼は、女人か。
この感覚からして、小柄で、体も強くない。
嗚呼、可哀想に………この体で、人間を喰ったのだろうか。




私は体と斬り離されていたであろう頭を抱え、首に接着する。
ミチミチという音ともに、頭と体がくっついた。

くっついた事で、ある程度動けるようになった体。
そこで妙なことに気づく。
いつもであれば、この瞬間より、体力と傷の回復で
猛烈に腹が減るはずなのだが、しない。


人を、喰らいたいという衝動がなかった。

どういうことだ。
まさか、この娘は………まだ人を喰っていない?











『…………喉も、乾かナい』










それを理解した私は酷く安堵した。
そうか、人を喰わずに………鬼狩りにでも会って死ねたのだろう。
恐らく鬼に成った瞬間に、首を斬られたのだ。

とても、安心した。
この娘は、罪を重ねることはなかった。
私のせいでまた屍のみ蘇ってしまったが、良かった。
どんな鬼狩りに首を斬られたのか。
非常に判断が早かった剣士だったのだろう。


名も知らぬ鬼狩りに感謝しながら、
私は体を起こした。

その時………










カシャン………








という金属音と共に、足に何か当たった感覚があった。
疑問に思った私は足元を見る。

そこには信じられないものを見た。




“刀”だ。

刀が“二振り”落ちていたのだ。

どちらも形状が同じで、
脇差しと打刀程の長さである。
なぜここに。血もついている。
それに妙な置き方だ。力尽きて落ちたとは考えにくい。


そして服装。
これはいつの日か鬼狩りが着物を統一し始めた頃から見た。
鬼狩りの証。鬼狩りの着物。洋服だ。





ならば、この娘は………鬼狩りなのか?











な、らば。ならば娘は。






自分の手で、己の首を跳ねたというのか。












『この、鬼ハ………成った瞬間に、
自分で自決を………首を、跳ねたのカ………』












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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時

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