六度 ページ7
･
無惨を探し、今宵も私は暗闇の中彷徨う。
太陽を克服することが出来ない私は、
夜という限られた時の中で、無惨を血眼に探した。
無惨の支配から逃れたものの、
逆を言えば無惨の居場所が分からなくなった。
だから探すしかない。
しかし鬼は本来群れることは無い為に、
鬼を探すにも難しい場合もある。
それに、無惨に従う全ての鬼は
その記憶や視界をも互いに細胞によって共有するために
下手に私は動けなかったりする。
恐らく私は無惨にとっても例外の存在なのだ。
悟られてはいけない気がした。
この例外の存在である私が、
無惨を倒す際の強力な武器になり得たりする。
ならば、鬼に出会っても無駄だ。
鬼狩りであればまだ、道はありそうだ。
何度目かの繰り返しでそう思い至った私は
鬼狩りを中心に接触を試みた。
………が、上手くいくはずもない。
いつしか鬼狩りは新たな力を得たらしい。
何度か鬼狩りによって殺されてきたが、
鬼狩りの戦法が変わっていた。
首を斬られ、それで死に至るようになった。
特殊な刀を使っているらしい。
日を浴びずとも鬼が死ぬ方法が出来た。
それが何よりも大きな功績。
しかし、接触が難しくなった。
当たり前だ。鬼狩りは鬼を殺すことを目的としてる剣士。
そして………過去の鬼の記憶を見ても、
鬼に対して明白な拒絶反応、そして凄まじい憎悪。
それによって鬼狩りは成り立っているにほかならない。
接触すれば、首を斬られる。
だが、構わなかった。
どれだけ首を斬られようが、構わなかった。
それで死ねるなら本望でもあったから。
そして死ねぬなら何度でも接触をすればいい。
鬼狩りが潰えない限り。
私に必要なのは、鬼狩りの力なのだ。
あきらめない。
諦めない。
諦めることは、許されないから。
何度死のうが、私は諦めない。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2023年4月18日 21時
