四度 ページ5
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何度繰り返したか。
数えるのも億劫になった私。
既に百はこの生まれ変わりを繰り返している。
いや、それ以上に繰り返しているのかもしれない。
そして百を越えた繰り返しでようやくまた分かったことがある。
それは私の血鬼術について。
どうやら、私の血鬼術こそが
この繰り返し生まれ変わる、という能力らしい。
言葉に当てはめるならば“転生”あるいは“円環”だろうか。
或いは“寄生”とも言うべきか………
生まれ変わる、というのも“人間になる”訳ではない。
“死んだ鬼を乗っ取り”、私として生きている、
というものだろう。
死んだと思って気づいたらいつだって鬼だったのだ。
大勢人間を殺して喰ったんだ。人間になれるわけがない。
それから何度か繰り返して、理性を保つようになってきた。
少しずつ、少しずつ………言葉も知性も理性も無いような、
獣のような鬼であった私は、
繰り返すことで進化しているようにも思えた。
それでもやはり、人を見るたびに、
猛烈に喰らいたくなる鬼の本能と戦わなければならなかった。
故に私は、自身に暗示をかけるように、
人を喰らわぬように、言い聞かせる。
しかしどうしても本能が勝りそうになることもある。
だから、魚や獣の血を喰らい続けて何とか自我を保っていた。
それでも………罪は消えてはくれない。
今度こそ、今度こそと、鬼狩りに会うたびに
己を斬って、太陽で焼き殺してくれとせがんだ。
今度こそ、いつからか忘れてしまった太陽の日差しで
温かく死ねたならと、願って。
だが、太陽は私を不浄の者と言わんばかりに、
苦しみ藻掻きながら、焼かれて死ぬ。
そして、また…………鬼として生まれ変わってしまう。
【死は許されない】
【藻掻き苦しみ】
【永遠と太陽の下で焼け死ぬがいい】──
………そんな自身の声が、聞こえた気がした。
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時