三十七度 ページ39
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鬼《はあ?何言ってるんだよ。
というか、お前変な気配すると思ったら、鬼じゃねぇか》
『………』
鬼《鬼狩りに捕らわれてでもしてんのかぁ?
あのお方がそのような腑抜けの鬼を放っておく筈は無いが、
助けてやろうかぁ??
その布面を外して「助けてください」と請えば
考えてやってもいいぞぉ?》
『………貴様のような奴と同じ生き物と考えるト、虫酸が走ル』
私は握り拳を作り、力を込めて血を垂れ流す。
そしてグンッ!と手を引くような仕草と共に、
黒い鬼付近の地が盛り上がり、地中から白い物体が現れる。
背骨だ。ベキベキベキという軋むような音を立て、
背骨はあっという間に黒い鬼を捉えた。
『血鬼術──【
ベキベキベキ!
鬼《グァァア!?(何だこれ!?骨!?
木の根のように背骨が僕の体を絡めて……突き刺してくる!!)》
背骨というのは、硬く、柔らかい。
まるで蛇のような動きが出来るのとともに、丈夫だ。
巻き付いてくる上に食い込んでくる骨。さぞ痛かろう。
これで、樹海に溶け込むような姑息な逃走などは出来まい。
私が扱う骸の骨は、簡単には破壊できないぞ。
『………貴様を縛るその骨ハ、
この樹海で死んだ人間の骸を結合させたもノ。
骸を操るなド、趣味の悪い血鬼術に嫌気が刺すガ、
樹海に見を潜ミ、死にたいと願う人間ヲ
こそこそと食らうような貴様にはお似合いだろウ』
鬼《ヒッ、》
『死して無惨に細胞で伝えるがいイ。
貴様が食ってきた人間の骸ハ、死しても尚、貴様に刃を放ツ。
貴様が殺した人間の分だけの骸ガ、
お前の死を望ミ、与えるとナ。
──音柱』
鬼《!?》
ザンッ!
捉えた鬼にそう言い、
私は音柱にとどめを刺すよう視線を送ると、
音柱はその意図を汲み、鬼に近づき、軽く刀を振り下ろす。
鬼は頸を落とし、そのまま霧散した。
私が手を下ろせば、死狼や鬼を捉えていた背骨が、
ドロリと血で溶けるように消える。
『………鬼ハ、細胞によって情報を共有すル。
この鬼が見た視点で、私の存在やお前の毒の情報は
無惨に共有されただろウ。
藤の花の毒を扱うなラ、次に向けて改良をすることを薦めル』
音柱「成程な。道理で鬼殺隊の情報網が鬼共より
遅れがある訳だぜ。細胞の共有………チッ厄介な」
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時