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三十五度 ページ37








『【血鬼術・死狼】』

音柱「!血の野犬………?」


『私は骸や骨を操る異能を持ツ。
これは大昔、ここで息絶えた野犬達の骨を集めて繋ぎ直シ、
私の血で操って動かしているもノ。

日輪刀で斬られるか、体内にある血の核を破壊するか、
陽の光で焼かれない限り活動すル。
犬は鼻がいイ。これで探りやすいだろウ』


音柱「ほー。便利なこった」

『………あまり使いたくはないがナ』


音柱「そうかよ。じゃ、捜索の手も広まった事だし………
お互い何か気づいたことがあれば直ぐ報告な」


『分かっタ』









─────────────────────





捜索を開始して少し。
死狼が反応を示し、吠えた。








『死狼が反応しタ』

音柱「方角は?」

『西ダ』

音柱「西………火山の麓か」


『反応的に硫黄の匂いが邪魔しているガ、
風の流れが決まっているようダ。
風下から遡れば辿り着けるかもしれなイ』


音柱「確かにな。じゃあ行くぞ、鳶寧」










音柱はそれだけ言うと、素早い速さで駆け抜け始めた。
な、何て速さだ。追いつけない………っ。
いや、それでも追いかけられているこの体も十分に速い。
これ程走っているにも関わらず、息切れも全くしない。
しかしこの体になってまだ慣れないこともあり、
思考と体が追いつかない。

私は走りながら爪で腕を傷つけ、血を流し、
その血を使って死狼の体を大きくした後、死狼に乗る。












死狼《ガウッ!》





音柱「うお、デカくなりやがった」

『貴様の足が速いからダ』

音柱「小鳥遊ならついてこれそうだが?」

『思考と体が追いつかなイ。慣れるまでダ』

音柱「一般人に見られねぇようにしろよ」

『言われなくとモ』









この体はこれまで乗っ取った鬼と違う。
これが柱の体………慣れるまでしばらくかかる。
早い所慣れなければ。

そう思いつつ、私達は反応があった方角に向かう。









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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時

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