三十一度 ページ33
・
胡蝶「………」
胡蝶は黙っていた。
口では微笑んでいるが、感じる。
小鳥遊Aだったか。
この体は、相手の心を鏡に映すがごとく、
己の感情のように相手の感情が伝わる体質のようだ。
渦巻いていたのは憎悪。鬼に対しての怒り。
胡蝶「………私には夢があるんです。鬼と仲良くする夢。
貴方は私と仲良くしてくれますか?」
『(………嘘を隠すのが上手いな)
残念だが、それも出来なさそうダ』
胡蝶「あら、いけませんか?」
『私が鬼である限りナ。私はお前とは釣り合わなイ。
私はお前達に情報を与え、
お前達は情報流出を防ぐ為に私の保護をすル。
互いに利用価値があっタ、それだけの関係ダ』
胡蝶「折角ちゃんと話してくれる鬼でしたのに、残念です」
『…………』
胡蝶「さて、お館様の命によって、
貴方はこれから毎日、柱が貴方を監視します。
余計な行動は控えてくださいね。
貴方の頸を跳ねなければなりませんので」
胡蝶はそう言いながら、私の手を取り、
脈を測るなどをした後で、どこからか布を取り出す。
胡蝶「また、任務に同行する場合もあるとも思いますので、
布面をしてもらいます。
貴方のその顔を知っている隊士も居ますので」
『成程、分かった』
胡蝶「それから恐らく私は貴方の監視は行わないかと。
任務以外でここを離れるわけにもいかないので。
また、定期的に私の所で検査させてもらいます」
『嗚呼』
私は布面を受け取る。
こればかりは、ここに置いてもらうための条件だ。
致し方ないだろう。
布面は顔全体を覆う黒いもので、
実際に付けてみれば、視界に然程影響はなかった。
無惨にも見つかるわけにはいかないため、これは有難い。
鬼狩りの人間との面倒事もある程度避けれそうだ。
胡蝶「理解が早くて助かります。
では、本日は音柱である“宇髄天元”さんが
貴方の監視役を務めます。
宇髄さんがお待ちですので、着いてきてくださいね」
・
65人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時