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二十度 ページ22

円環の鬼side





実弥は私を見て、一層ミシミシと握りこぶしを作っていた。

………死を受け入れる覚悟は、ある。
今までも、これからも………
私はそうしなければならないとも思っている。
知性や自我がなかった時の事だとしても、
多くの人を殺して食ったことに変わりはない。

償いきれないほど、殺した。
私という存在があってはならない。
無惨を葬り、私も消える。それが最終の目的だから。


今………目の前に居る男、実弥は相当鬼を憎んでいる。












実弥「俺は、相手がどれほど親しい人間であれ斬って捨てれる。
斬っても無駄なら、何度だって探し出して斬ってやるぜェ」


『………!』












それを聞いて、私は心から安心したのと、
それと共に絶望したのだ。

躊躇いもなく殺せると、彼は断言した。
その言葉は、まるで“そういう経験をした事がある”と
言いたげなものだった。
………その役目は、想像絶するほどの苦痛なのだろう。
そんなことをさせなければならないという絶望。

でも、安心したのは………その憎しみを忘れず、
私という醜い存在を探し出して、斬り続けるという固い決意。
それが彼から伝わった。
時代は流れた。それでもまだ………鬼狩りは無惨を葬るために
戦い続けてくれる。

私の頸を、斬ってくれる。
これほど………安心できるものなどない。











『(嗚呼、良かった)………そうカ。それなら感謝しなければナ』

実弥「………あァ?」


『私は死ねなイ。今までも、死に場所を求メ、彷徨イ、
何度もお前達鬼狩りに出会ってハ、
頸を斬って貰おうと近づいタ。
逃げようとする本能に逆らイ、太陽の下に行っタ。

何度も、何度も………それでも死ねなイ。
無惨を………奴を葬るまでは償いとして生きてきたガ、
根本的には変わらないのダ』










償わなければならない。
この身が滅んでも、私という存在が無惨を
殺すまで死ねないというのなら………

どうか、私を苦しませて殺してほしい。
私が乗り移ってしまった鬼たちも、
これ以上罪を重ねないように殺してやってほしい。
どうか………許さないでほしい。












『本当であれば、貴様のような奴に
頸を斬られるのガ、一番いいのだろウ。

もしも斬るとなるならば、長く、苦しませて殺してくレ。
私を許すことなク、長く、長く、苦痛を与えて殺すといイ』












もう、人に戻れないのなら──
せめて、今生きる人間の為にこの身を捧げたい。

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時

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