十八度 ページ20
私の言葉に、杏寿郎も実弥も同じく目を見開いていた。
その反応を見て、私は内心謝罪する他なかった。
大切な、仲間だったのだろう。
この体の持ち主は、きっと…………
鬼狩りの者たちにとって、重要な人間だった筈。
………私がこの体に宿ってしまったせいで。
『………言えるのハ、私はお前が知る
”A“という人間の人格ではなイ。
私は寄生の鬼。死した鬼の屍に宿る鬼。
頸を斬っても無駄ダ。
頸を斬っても、何度だって私は蘇ってしまウ』
実弥「………ハッ、同情でも買おうってかァ……?
ふざけんじゃねぇよ。
仮にテメェが話したことが事実だとしても、
結局は鬼に変わりはねェ………」
杏寿「待て、不死川。
お前は”寄生の鬼“と言ったな?
死した鬼が完全に消滅する直前に、その鬼の体を乗っ取るのが
お前の血鬼術と言ったが………
つまり“小鳥遊”──その体の持ち主が鬼になり、
消滅する前に乗っ取ったという解釈で合っているか?」
『………そうダ。私が乗っ取ることが出来るのハ、
消えゆく鬼に限ル。
それ以前ニ、私の意志関係なく鬼に宿る為、
どの鬼に私の意識が乗っ取るのかは分からなイ。
意図的にこの娘に宿った訳ではなイ』
Aside〜end〜
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実弥side
鬼の言葉に、俺は言葉を失った。
否定したかった。
この糞鬼が、本当は俺達を翻弄するために
Aに化けていると、思いたかった。
Aの死を鴉から知らせられた聞いた時だって、
骸を見るまでは信じねぇようにして。
鬼なんざに喰われていねェって………散々探し回って。
ようやく見つけたと思ったら。鬼になっていただと?
しかも何だ──
見た目も、気配も、最後に見た彼女のままだってのに、
目の前に居るこいつの人格は、彼女じゃねぇ別の鬼の精神?
そんな事、あってたまるかァ……!
どれだけ………どれだけ、奪えば気が済むってんだァ。
鬼ってもんはよォ………!!!!
脳裏に記憶している彼女の顔は、いつだって微笑んでいた。
なのに何だこの目の前に居る鬼は。
感情も何もねぇ面。
同じ顔なのに、Aが一度だって見せたことのない顔。
ふざけんじゃねぇ。ふざけんじゃねぇ………っ。
俺の中の怒りがまた、蓄積されていく。
実弥「俺は、相手がどれほど親しい人間であれ斬って捨てれる。
斬っても無駄なら、何度だって探し出して斬ってやるぜェ」
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時