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十七度 ページ19









A──


それは確かに人の名前だ。
この体の持ち主の名だろうか。

それを理解したその時、ギッと白髪の男は力を更に強め、
私を地面に押し付ける。
動けない………この娘にはこの男から脱する程の力は無い。
完全に力が不足している。










輝哉「………実弥」






実弥「いいえ、お館様ァ………
鬼を許してはなりません………決して!!
竈門禰豆子は承諾しました。

ですがこいつは、単独でここへやって来たァ!
貴方様の命を狙う、無惨の刺客の可能性もあります」


??「それには俺も賛成だ!!お館様!
竈門兄弟の時とは勝手が違いますっ!!」










実弥と呼ばれた白髪の男は、
先程の僅かな動揺から瞬時に切り替え、
産屋敷に考えを改めるように告げた。
金髪の男も同様に産屋敷に発言をする。

実弥はギチギチと奥歯を噛み締め、
徐々に私を捉えている手に力を込め続ける。
しかし、何だ………この男、呼吸がやや乱れている。










『、………』


輝哉「………そうだね。その可能性も否定出来ない。
でもね、彼女は鬼舞辻無惨に接触していた炭治郎と同様、
彼女にしか分からない無惨の情報を持っている。

それに、彼女は他の鬼と比べても理性的だ。
勿論危険を伴うが………私の話を聞いてくれるかな?
実弥、杏寿郎」


実弥「!」

杏寿「む………」








輝哉「…………柱達を集めてくれるかい?」










─────────────────────








私は、柱が来るまでと拘束された。
鎖がついた手枷をはめられ、二人の柱の監視の下、
別室に移動させられた私は大人しく待機していた。









『………』

実弥「…………」

杏寿「…………」









沈黙が続く。柱と呼ばれているこの二人は
隙を見せることなく、私の監視を続けている。

そんな沈黙を破ったのは、杏寿郎と呼ばれた男だった。










杏寿「一つ聞く。鬼となった者は、
鬼となる前の記憶を失うと聞いている。お前もそうか?」


『………鬼の常識で言うならバ、その認識で合っていル。
ただ、私の場合は例外の分野に入るだろウ』


杏寿「例外?」


『私は異能の鬼ダ。
それも、鬼に成り変わるという、寄生の鬼。
頸を跳ねてモ、太陽に焼かれて灰になってモ、
別の死した鬼の体を乗っ取り、蘇るのダ』










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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時

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