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十度 ページ12









骨を操っていた鬼は、俺にそう声をかけてきた。
俺を襲っていた鬼は今、身動きが取れない。
今なら、首を落とせる!








炭治「水の呼吸──【壱ノ型・水面斬り】!!」








ザンッ!!







すかさず俺は鬼の頸を斬る。
鬼は瞬く間に霧散し、消えていった。
あ、危なかった………あの鬼のおかげで、斬ることができた。

それにしてもあの鬼は一体……?
俺に手を貸してくれた。
襲いかかることもしない。どうして……?
敵意もなにも感じない。










炭治「あの、ありがとうございます。助かりました」

『!変な奴だナ。鬼に礼を言う、とハ』


炭治「だって、俺は確かにあなたに助けてもらったんです。
それは確かな事実ですし」


『………お前くらいだヨ。鬼に感謝を言うのハ』


炭治「どうして、俺を助けてくれたのですか。
鬼同士は群れないと聞いてます。
仲間意識もあまりないとも聞いてますが、
どうして人である俺を……?」


『…………』

炭治「………ええっと、……?」











俺は聞いてみたが、鬼は答えてはくれなかった。
改めて彼女を観察して見る。
言葉はやや拙いところはあるが、
鬼の匂い以外は一見すれば本当に人のようだった。
襲うこともなく、俺を襲った鬼を押さえつけ、
俺に倒すようにも言っていた。

不思議な鬼だ。今まで色んな鬼と対峙してきたけど、
この鬼からは禰豆子と同じように、鬼の匂いはあるけど、
血の匂いは全くしない。
でも禰豆子と違うのは………なんと言えばいいか。
感情の匂いからは“血の匂い”がした。

禰豆子に似ているようで、根本的な何かは
とても圧のある、重いものを感じた。










『黙秘すル。応える気は無イ』

炭治「そ、そうですか」


『私もお前に聞きたい事が幾つかあル。
自分も答えなかった所もある故、全てに答えなくていイ。

お前は何故、鬼を連れていル?』


炭治「!」


『背負っているのハ、鬼だろウ。
気配も独特ダ。人を喰ってるような生臭い匂いもしなイ』


炭治「妹なんです!俺は妹を人間に戻すために、
鬼殺隊に入ったので──」


『!な、に……?妹……?本当なのカ』

炭治「は、はい」








《ムゥ………?》







炭治「!禰豆子」









その時、箱から禰豆子が出てきた。
縮めた体を少し伸ばして、
俺と彼女を交互で不思議そうに見ている。

その様子を見ていた鬼は──

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2023年4月18日 21時

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