【刀剣乱舞】その神、縁を知る者

†伍佰捌拾捌† “誰かと星を見に” ページ9

改めて詳しい数字を聞くと、
僕は随分と長い間待っていたみたいだ。

50年、か。
そうか、主はもう………帰らない。
迎えは来ない。


それは随分と呆気ない感情。
どこか自分も分かっていた………
自分の主は死んで、僕は差詰め“野良”と言う事だろう。

それでもここに居続けたのは、
多分、もう一度………君に……………








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あれは、そう。
星がよく見える日だったね。






??「あら？貴方、ここで何してるの？」

青江《！》








いつものように、顔も思い出せない主を
この祭壇で待っていた時、ふとそう呼び掛けられた。

神気が弱り、自分を認識出来る人間は居なかった。
ただ賑わしく目の前の通りを歩くだけでね………
退屈な日々を過ごしていた。


きっと彼女の霊力と僕の神気の
相性が良かったんだろう。

彼女の瞳に僕が写った。








青江《………迷子かい？》


??「勘違いしないでよ………迷子は相手。
ったく、紅羽さんたらとんでもない
方向音痴だから……」


青江《君には僕が見えているんだね》

??「何の話？」

青江《こちらの話だよ？それで君は誰かな》


夜蝶「夜蝶よ。審神者の見習い。
演錬場に初めて来たんだけど、
人が多くて気持ち悪くなって………
さ迷っていたらここに来たのよ。

ここは静かで良いわね。
それで、貴方名前は？」









やけに、平然としたような人の子だったねぇ。
ここら一体は良くないモノもよく来るんだけど、
漂う障気をも浄化する力が彼女にはあった。

……………彼女は気づいていなかったけどね。









青江《僕はにっかり青江。元は大太刀の大脇差さ》

夜蝶「変な名前ね」


青江《そう思うだろう？
でもさ、にっかりと笑った女の幽霊を斬ったのが由来、
と聞いてまだ君は笑っていられるかい？》









久々に人と話したから、少しからかってあげようかと
僕はこの身に刻まれた号の由来について話してみた。

この話をすれば、大抵イイ反応をするんだけどねぇ。


……………怖がる反応の事だよ？









夜蝶「あらそうなの？ふーん」









でも彼女、指して興味なさそうな
反応をしたんだよね。

珍しいよね？

不思議に思っていたんだけど、
理由は直ぐにわかった。


ねほりはほりと彼女に手を伸ばす
ねっとりとした厭らしい手が、彼女を捉えていた。

……………彼女に憑いている妖怪の事だよ？






どうやら彼女はそう言った
類いに好かれる体質らしい。

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