五色兄妹物語*6

物語233話 ページ23

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翌日


「Aは色白だから何でも似合うわね」


『おばあちゃん、苦しい』



「髪もさらさら、纏まりやすくていいわ」


『おばあちゃん、痛い』



今、何をされているのかというと



「とっても綺麗ね、きっと気に入って頂けるわ」



誰に? 何を?

って思ったそこの方


誰でもいいので助けてください。



私、お見合いするそうです。



ただでさえこの家に来てから不満は多いのに


その中でもダントツ嫌なのが、お見合いをさせられること。


前から決まっていただとか

先方も私を気に入っているだとか


そんなの知らないし

どうでもいいし


会ったこともないのに気に入るって何

私まだ高校生だし


相手の男なんてどうせ、親がお金持ってるだけのボンボン

親の言いなりでお見合いなんてするくらいだし、全然モテなくて頼りなくて更にマザコンとかに決まってる

あと、相手は高校生だと知った上でのお見合いなんてキモい




『…ﾁｯ』



見ての通り私はすごくイライラしてる

顔も態度も不機嫌全開



おばあちゃんは私に着物を着付けて、髪も結い上げた


けどずっと不機嫌で顔がむすっとした私に

「外に出て空気吸ってらっしゃい」

といい、庭にぺいっと放り出した



『……』



私は考えた


これはチャンスじゃないかと



逃げるための




表から出ればバレてしまう

庭の裏の方へ回れば、確か勝手口があったはず


そっちに行けば…!!



庭師「……」


『……』



と、そのまさに今

庭師さんとバッチリ目が合い




私は、


『しー…』



人差し指を口元に

“お願いだから黙ってて”と念をおしたつもりなのに…




庭師「奥様ー!!」


『!? ばっ…』



庭師さんは大声でおばあちゃんを呼んだ

こんのバカ!


バタバタと廊下から足音が聞こえた


もうすぐここまで来る


逃げるか、戻るか…





そんなの…



「A!!」



『おばあちゃん!』



逃げない。


　

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