▽ ページ28
「おい、ナベも気づいたか、あのカップ」
「うん」
割れたカップの取っ手の右の方に口紅がついている。
つまり、“右利き”の人がカップで飲むと取っ手の“左側”につくはずなのだ。
「…右手が塞がっていたんじゃない？」
「！スマホの写真か！！」
松田と話していると、コナン君も同じ事に気づいたようで同じ事を言っていた。
「人は何かに夢中になると、その他のことがおろそかになる。たとえカップの位置や取っ手の向きが変えられていても、気づかずに取ってしまう」
「その心理を利用して、犯人は被害者に毒を飲ませたと？」
「ええ、毒を入れた自分のカップと、被害者のカップをスリ替えてね」
安室さんが心理的なトリックだと説明する。
毛利探偵や高木さんは驚いているが、私たちも概ね同意見だ。
「気づかれずに被害者のカップに毒を入れるより、自分のカップに毒を入れてスリ替える方がローリスクだしね」
「コイツらはカップの受け皿を使ってねぇようだし、カップの位置をズラしやすいしな」
ざわつく見舞い客たちに、さらに重ねて萩原と松田が言う。
あと気になるのは、この紅茶だな…。
同期たちの中ではおおよそ推理がまとまっているが、証拠もない今犯人を特定するのは難しい。やはり被疑者からも意見が上がる。
「ス、スリ替えられるわけないじゃない！」
「彼女だけレモンを浮かべてましたし」
「それによく見てみなさいよ、みんなの紅茶の色を！」
被疑者たちのいうとおり、それぞれ違うフレーバーを楽しんでいたようで、茶色、青や黄色といった色とりどりの紅茶が注がれていた。
割れたカップの周りには赤色の紅茶が溢れているので、被害者は赤色の紅茶を飲んでいたらしい。
赤…青…レモン。
理系科目苦手だし、萩松コンビに丸投げしようと考えているうちに、話が進んでいた。
被疑者の身体検査を行うらしい。
「ナベ。非番のところ申し訳ねえがお願いしてもいいか？」
「ウン」
今のご時世、警官といえど男性が女性の体を触ったとなると訴えられかねないしね…。
警察手帳を見せ、被疑者たちの同意のもと身体検査を行った。
順に終わらせると、ダテさんが別室で事情聴取を始める。その隙にお手洗いへ向かうと、白馬くんに会った。
「あれ、渡辺警部？帰ったのでは？」
「いやぁそれが…」
「先ほどの悲鳴からして事件があったというところですか」
「御名答」
すでに警察と眠りの小五郎がいることを伝えると、興味を持ったらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 279人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雹(プロフ) - 水さん» コメントありがとうございます！今まで全然気づかず申し訳ないです。教えていてだきありがとうございます。修正させていただきます！ご指摘ありがとうございます！！ (9月20日 8時) (
レス) id: 43b36fd2d9 (このIDを非表示/違反報告)
水(プロフ) - ログインしないで読むと、名前変換が適用されず、萩原さんから呼ばれる時だけ「ちゃん」になってしまうのでお暇な時で大丈夫ですので直してくれるとありがたいです！よろしくお願いします！これからも更新頑張って下さい！ (9月19日 10時) (レス) @page10 id: 5700234c3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雹 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Haku_SHS/
作成日時：2023年9月10日 23時
