【wrwrd】目の前に推しがいるんだけど！？2【d!】【軍パロ】 (ページ8)

今日:16 hit、昨日:14 hit、合計:7,542 hit

55 ページ8

「よ、よーい始め！」

赤と白の旗を両手に1本ずつ持った、軍人と言われれば細身の、一般男性と言われれば少し筋肉質の中途半端な男が部屋の中央に立ち、声を張り上げた。
先程まで自主訓練をしていた彼らは突如やってきた何人かの幹部に驚きつつも即座に整列をして、その来訪に対応した。

部屋の真ん中で軍人達の注目の的となっているのは、1番の新入りと詐欺師である。新入りが圧倒しているが、所々隙を見て返される攻撃は少しであるが確実にダメージを与えている。
そんな様子をゾムに呼ばれて来た、何故か暇を持て余している残りの幹部らは真剣に観察していた。

その静と動が存在している空間に、黄金色の光が射した。

ぱぁっと射したその光は新入りの顔を照らした。普段は滅多に顕にならないその何故か整った、異質の顔は一瞬困ったような顔をすると、一直線に突き進んでくる詐欺師の頭をぐっと足で押し返した。

ci「ちょ！それはズルいじゃないですか！」

手足をジタバタとさせながら、それでもナイフを振るおうとしているそれの瞳は、凶猛でいて、普段の様子とは似て非なるものであった。

zm「おら、チーノぉ早くそこから抜け出すんだよォ！」

部屋の片隅で、ゾムは汚らしい笑い方をしながらまだピンの抜かれていない真っ黒い手榴弾をぽんぽんと手を慣らすように投げていた。
訓練をしていた軍人共は真剣な眼差しで、自分ならあの状況をどう切り抜けるか思考していた。
彼は1人薄らと笑みを浮かべていた。
先程射しこんでいた黄金色の陽はもう既になくなっていて、何故か仄暗く感じる照明が全ての人間をぼんやりと見下ろしている。部屋の端に落ちていた埃が舞った。