【wrwrd】目の前に推しがいるんだけど！？2【d!】【軍パロ】 (ページ42)

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それを聞いて、俺は医務室まで全速力で走った。

なんてことない距離なのに息が切れる。喉がちりちりと痛くなって血のような味がする。足が絡まりそうになって、手が凍ったかのように冷たい。さっきまであんなに機能していた脳は、ストップして真っ白になっていた。

zm「A！」

何も考えられなくて、勢いのままカーテンを開けた。そこには上体を起こしたAが居た。

『ゾム、様…』

zm「良かった…ほんま、良かった！もう死んだんかと思ったわ、あほ！」

男なのにみっともなく、目から涙がぼとぼとと落ちていく。そんな俺を見て、驚いたような困ったような顔をしたAは、目の前で手をぐぱぐぱして見せた。

『もう、元気です。ご心配おかけしました』

にっこりと笑うAには、この前までのあの他人を寄せ付けない雰囲気はなかった。きっと、あのAが戻ってきたのだ。それに俺は淋しくも悲しくもあり、同時に嬉しくもあった。
複雑な感情が俺の脳内を占めていく。あのAはどこだ。もしや、あいつのせいか。やっぱり、あの時追うべきだったか。

ut「Aちゃん起きたんやって？大分寝坊助やったな。おはようさん」

後ろから鬱の声が聞こえ振り返ると、先程まで空間を共にしていた奴らがいた。
しかし、良い顔をしているのは数人ぐらいで、特にコネシマなんかは酷い顔をしていた。

『おはようございます、鬱様』

Aが起きてから、彼らに向けて初めて発した言葉に、皆はっとする。寝起きでガラガラとしていた声は決して可愛いものではなかったが、何人もの人間の顔を綻ばせた。

kn「オマエ、ほんま遅いっちゅうねん！」

コネシマが俺の隣を通り抜けて、Aに近付く。あろうことか、まだ起きたばかりのAの両肩を思いっきり掴み、ぐらぐらと体を揺らした。

si「ちょ、コネシマ！病人にそんなことしちゃだめでしょ！」

後ろで見守っていたしんぺい神が慌てて出てきて、べりっとコネシマをAから剥がすように押し退けた。