【wrwrd】目の前に推しがいるんだけど！？2【d!】【軍パロ】 (ページ5)

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黒いスーツを着ているから、夜に紛れてしまっている彼女は動物へと手を出した。愛用している真っ黒いナイフを手に狼やら鹿やらを狙っていた。流石の手腕で動物達を仕留めると、どこで覚えたのかも覚えていない華麗な処理を施して、それらを肉へと変えた。

『これは何度目なのか』

いつも考えていることである。

ぽつりと嘆いたその言葉は誰にも届かなかった。1人天へと上り、静かに溶け消えては何も伝えることが出来なかった。
第三者はそれを聞いていた。ニタリと笑って楽しそうにケタケタと喉を震わせた。娯楽として楽しむその様は胸糞でしかなく、当の本人からして見れば殺意の対象であった。
見放されて突き落とされればナイフによるショーが始まるであろうそれは、悲しみの涙を知らなかった。上もそれを教えなかった。無邪気な子供のように胸糞を楽しんで、要らなくなったらぽいと捨てた。何人もが犠牲になった。犠牲を止めるように創られた者も捨てられ、誰もが止めることが出来なかった。ただ独りを除いて。

肉を持って帰った彼女は世が更けて誰も居ない調理室へと忍び込んだ。血抜きした肉をどんと勢い良く置いて、更に細かく食べやすい大きさへとカットしていった。

「お〜、美味しそうなん作りよるやん」
『食うか？』

背後から足音もなく出て来たのはゾムだった。彼は彼女に対して人一倍気をかけていた。だからこそ、彼女が帰ってくるのを待っていた。朝になっても帰って来ないのならば探しに行くつもりで。
彼女はザクザクと肉切り包丁で捌いていく。ゾムはその横でどこから持ち出してきたのか、少し大きめのフライパンをコンロに置くと、油を引いた。

zm「焼くで〜」

『焦がしたら殺す』

zm「ハハハッ！分かってますや〜ん」

ゾムはニコニコとした顔で肉を乗せていくと、じゅうっと美味しそうな音が薄暗い調理室に響いた。