【wrwrd】目の前に推しがいるんだけど！？2【d!】【軍パロ】 (ページ33)

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瞬時に首の横を掠める冷たさと共に、金属がカランッと落ちる音が響いた。

視界がぐらりと傾き、頭がガンガンと激しく痛み出す。身体が悲鳴を上げ、倒れそうになる。しかし、俺は倒れるわけにはいかない。

早急に反撃を開始するため、足を踏み出す。敵の手元が狂ったのか、幸い掠っただけで、このまま直撃してしまったら命を落とすことになるだろう。

決死の覚悟で、投げられた方向に一発弾を放つ。だが、何の手応えもなく、自分の身体の状況と周辺の戦闘環境を考慮し、敵が潜んでいるであろう林に入ることはできない。今は耐えるしかないこの状況に嫌気がさす。

「君、運が良いね」

パチパチと手を叩きながら、アホのように林からナイフを投げたであろう人間が出てきた。
その声は幼く、が、容姿はスラリと整っていた。所謂陽キャとも呼ばれる程にキラキラしたようなオーラを漂わせている。ぱっちりとした目に形の整った眉。高い鼻。健康的に焼けた肌。俺も顔が整っている方ではあるが、並べば劣って見えるだろう。一瞬でそう思わせる雰囲気がその男にはあった。

少し視線を下げれば、その手に握っているものがしっかりと見えた。先端を見れば、俺が今持っているものと同じようで、てらりと輝いている。

「僕はね、今まで狙ったものは何だって外した事がなかったんだ。そう教育されたからね」

男がじりじりと近付いて来る。ニコニコと効果音が聞こえてくる程に形作られた顔のせいで、気味の悪く感じる。1歩後退る。

「君とは同じものを感じるね」

『何が同じだバーカ。どこをどう見たって俺とお前は正反対だろうが』

俺と違って黒い髪、茶色い肌。揃った色をしている瞳。健康的についた筋肉。
どれも人体実験の産物である俺の身体とは程遠い。

「あは、どうだろうねぇ」

男の雰囲気はガラリと変わった。降ろしていたナイフはギラりとこちらへ光をとばし、重心を落とし、そして、地面を蹴った。