【wrwrd】目の前に推しがいるんだけど！？2【d!】【軍パロ】 (ページ28)

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数多の人体実験でイカれてしまったAは、自分を2つに分裂させた。

1つはそのままのA。あまり人を傷付けることが好きではなく、彼らに従順で、知性が高く、推しのことが大好きで、プラスの感情が大きく占めるA。
もう1つは裏返したようなA。抑えられない衝動により、何かを傷付けることが好きで、彼らに反抗的で、戦闘においての知性だけが高く、自分のことだけ、今だけを考え、マイナスの感情が大きく占めるA。

まだ、幾つもの人格に分裂していないだけマシだと言う人間もいるが、2つしかないせいで、裏のAは並々ならないマイナスの感情を持ってしまった。Aが受けた悲しみや怒りが、裏のAによって何倍も増されて蓄積される。それが繰り返され、ストレス発散方法兼お金を稼ぐ為に、自分の得意なことを行うようになった。
そうして、行き着いたのが殺し屋だった。

人体実験のおかげで知能も技術も全てにおいて、劣ることはなかった。何もかもが簡単にできて、退屈でつまらなかった。が、それだけは飽きなかった。

依頼人は何を思ってこれを依頼したのか、対象は何を犯したのか、その意味のわからない感情を理解しようと努力するのは楽しかった。意味のわからないからこそ、正解することが難しくて楽しかった。衝動が抑えられて、ただ怠惰な日常を送っていた。

のにも関わらず、それを辞めたAはどうなるだろうか。

答えは簡単だ。

壊れる。

今までに積もり積もったストレスや不安、過去は簡単に塗り替えれるものでは無い。毎日毎日、静かに無意識に苛まれ、知らぬ間に入れ替わり、知らぬ間に片方が邪魔をする。

ギリギリで回っていた歯車が少しズレてしまうと回らなくなるのと一緒である。

表のAは迷惑を掛けたくないが為に戻ってこようとするが、裏のAは衝動が抑えられない。裏のAがしたことを見てしまった表のAはそれに傷付き、マイナスの感情が増幅する。それの悪循環。

どこで、どうやって、どうしたら、断ち切れるのか。

それは、彼らがどうにかするしかないのである。