【wrwrd】目の前に推しがいるんだけど！？2【d!】【軍パロ】 (ページ21)

今日:9 hit、昨日:14 hit、合計:7,535 hit

67 ページ21

ばん。

耳を劈くほどではないが、それなりに大きい音が木霊した。同時に辺りに拡がる煙。

それは煙幕だった。

ショッピは懐からナイフを取り出し、どこから来てもよいように構える。ぴりぴりと皮膚で感じ取れる程の殺気が充満していた。

shp「なんでですか。何でなんですか！」

彼は動かなかった。彼が煙幕を投げたはずなのに。誰もがこの煙幕に隠れてショッピに攻撃すると思っていた。背後か正面か。それとも横か。全方位を警戒していたにも関わらず、どこにも気配がなかったと感じたショッピは苛立っていた。こんなチャンスを無駄にしても勝てる程に俺は弱いのか、と。

ショッピは周りから常日頃賞賛の声を浴びていた。同じ幹部のゾムと組んで戦えば、しっかりとした意思疎通で敵を圧倒し、コネシマの元につけば、どんな仕事もこなし、まさに優秀な後輩。それがショッピに浴びせられた言葉の数々であった。

で、あるのに。
彼はそんな賞賛の声をものともせず、何ならつまらなさそうにショッピを見ていた。

「ねえ、君。よく言われない？」

優秀な後輩だねって。

空気にヒビが入る。ぴきりと実際に聞こえたように誰もが動かなかった。じっとりと肌を湿らせるような気持ち悪い感覚が、じりっと彼の見つめる瞳が、観客の脳内を舐め回す。嫌に。不快で。そして、吐きそうな。

そんな。面白くなくて、誰かにはクライマックスのように笑い転げ回れる面白い事が始まっていた。