【wrwrd】目の前に推しがいるんだけど！？2【d!】【軍パロ】 (ページ19)

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さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。そんな音頭はどこにもない。

誰もが固唾を呑んで、息を止めるようにして見入っていた。
ちらりと合図を送る目も、はらりと落ちた髪を掬うのも、皆が皆、ぎりぎりとゆっくりと動いた。

ぱしり。

からんっとナイフが落ちる。投げられたナイフを叩き落としたのは彼の方だった。

sha「はっ。弱っちい攻撃ですまんなぁ。けど、そんなん俺でも分かっとんねん」

彼がギラリとシャオロンの投げたナイフを見る。明らかに彼の隙を突いていたが、それは分かりやすく彼の真正面へと飛んでいっていた。それが例えば足だったりしたら確実に当たっていただろうに、シャオロンは顔を目掛けて投げた。
なぜ？と彼が考えるよりも早くにシャオロンは駆け出していた。シャベルを片手に、彼を負かす(殺す)事だけを胸に。

sha「なあ！今どんな気持ちぃ？」

べこん！と音が鳴る。横に振られたシャベルが彼のお腹に直撃した。

『はは。負け犬には教えれねェな』

よろりとよろけながらも彼は腹に突っ込んできたシャベルを掴む。シャオロンの顔が明らかに歪んだ。

sha「誰が負け犬やとぉ！くそっ、離せや！」

グイグイとシャオロンが引っ張るも彼は離さない。と、シャオロンの体が飛んで行った。

軽くぽーいと投げ捨てるように飛ばされたシャオロンの顔が思いっきり歪む。しっかりと受身は取っているが、それでも尚痛い。そんな表情を見たからか、兵のなかの何人かはひっと息を飲んだ。

『大丈夫？起きれる？手貸そうか？』

優しい紳士が浮かべるような酷く甘ったるい笑みを浮かべて彼はシャオロンに声をかけた。ゆったりと歩いて近寄る様は物になっており、またもや別人格を思い出させた。

sha「あー、うるせぇなァ。こんなん痛くも痒くもないわ。お前と違ってひょろっちくねェからなぁ！」

痛そうに顔を顰めながらもぴょんっと飛んで体勢を立て直すシャオロン。背中を自分でとんとんと叩いている所から、やっぱり彼の力を思い知らされた。