【wrwrd】目の前に推しがいるんだけど！？2【d!】【軍パロ】 (ページ12)

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結果はエーミールの惨敗だった。

確かに最初はエーミールの知略が巡らされていて、彼も多少は手こずっていた。が、しかし。それはたった数分であって、多少。たった、それだけ。ゆっくりと塗り替えられていく場。最終的にはエーミールの知略すら彼に利用されてしまう始末。誰もが目を伏せた。エーミールの努力が分かるからこそ、辞めて欲しいと思えた惨劇だった。エーミールはその事象に震撼した。身の底から湧き上がる震え。恐怖。恐怖とは違うが、その感情は恐怖にしか思えなかった。

『頭脳明晰でいらっしゃられるんですね。どれも私には出来ないことで尊敬致します』

嘘も方便。八方美人。舌先三寸。

ころころと変わる鈴の音のように並べられていく言葉はどのように使われているのかを知らない。人を傷付けるのも癒すのも人の言葉だと言うのは万人が聞いた事があるであろうが、その言葉達は未来がどうなるかを知っていないのだ。知っていたとすれば、それは嬉々として飛び出していくだろうし、そうなるとしたら世界は瞬く間に言葉を破棄するだろう。

『あぁ、良いなぁ』

ぽろりと抜け出た言葉は止まることを知らない。どんどんと溢れては彼の心を埋めつくしていった。

ut「エーミール。次は俺の番やな。幹部の中でも俺が一番強いからなぁ。よっしゃ、女の子には負けられんな」

普段のあのやる気の無さは何処へやら。ぐるぐると肩を回しては、うんうんと頷いて鬱は手に収まる程の小ぶりな拳銃を持った。

カチャっと音が鳴る。セーフティーが完全に外されたそれの口は、今にも彼の心臓を食い破りそうだった。

へらへら。

『撃て』

ぱこん。
その場に轟かせるにはあまりにお粗末な音が出てくる。口から吐き出されたのは深い深い藍色だった。

べちゃりと藍色が落ちた。