お隣さん (ページ10)

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「お庭のあのお花はなんですか」

先日水やりをしていた花壇を指差す。

は「あれですか？あれはクチナシです」

「クチナシ」

は「はい。この時期に咲く花で花言葉は「とても幸せ」とか「喜びを運ぶ」、「洗練」「優雅」とたくさんありますよ」

「詳しいですね」

は「母が主に育ててますけどたまに水やりするので気になって調べました」

「よく覚えられますね」

は「興味のあるものは覚えられます。でも基本苦手です、覚えるのは」

「なるほど」

沈黙の多い２人。

は「そういえば、梅干し美味しかったですよ」

「わかってくれますか」

は「はい。酸っぱいもの好きなので」

「素晴らしい。いいことを聞いた。また何かお勧めあったら教えましょう」

は「是非」

気分が良くなりスクッと立ち上がるも、立ち眩みを起こしてしまう。

視界がじわじわ暗く歪み、頭から血の気が引く。

フラついた瞬間、彼に優しく受け止められる。

は「だ、大丈夫ですか」

「すみません大丈夫です、いつものことなので。すぐ治まります」

は「立ち眩みですね。ご飯は食べてますか？」

「今日はまだです」

は「……あ、ちょっと待っててください」

「……？」

私をもう一度座らせた彼は自宅へ入って、何かを持って戻ってきた。

は「これ、良かったら食べてください」