お隣さん (ページ9)

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野菜スープページ9

夏も本番に差し掛かり、まだ涼しい早朝の時間を楽しむ、大好きな時期。

庭に出て、伸びを１つ。

やっとの思いで手入れした芝に寝転がる。

静かな住宅街に、遠くの林から鳩の鳴き声。

雲１つない空に、涼しい空気。

目を閉じて耳を澄ます。

どこからか、ガチャ、と音がする。

ザッザッザッと……近づいて来て……？

「伊吹さん？大丈夫ですか？」

ふいに声をかけられ、パッと目を開けると

隣の庭から彼が顔を覗かせていた。

「はこたろーさん。おはようございます」

は「びっくりした…窓から見えて。倒れてるのかと」

「人はこんな大の字で倒れないでしょう」

は「確かに…そうですね」

「ご心配おかけしましたね」

は「いえ、僕の早とちりでしたので返ってお邪魔してしまって」

「いえいえ」

……少しの沈黙。

「…早起きですね」

は「いつもこの時間に目が覚めるので」

「健康体ですね」

は「伊吹さんも早起きですね」

「夏の早朝が好きなんです」

は「確かに、静かだし涼しいし、いいですね」

「はい」

今度はかなりの沈黙が続いた。

けど気まずさは１つもなく。

「こっち、来ますか」

は「え？」

「ここ、気持ちいですよ、汗水垂らして手入れしました」

そう言って芝をトントンする。

は「あ……じゃあ、折角なのでお邪魔します」

「いらっしゃい」

２人並んで座る。

静かで心地良い時間が流れる。