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後部座席に座りシートベルトをすると、ドアを閉めてくれた弟のほうが運転席に座り、兄のほうは既に助手席に座って買った袋を漁っていた。
車が動き始める。
し「これもう食べちゃおっかな〜」
は「こぼさないでよ」
ふわふわとした会話をする2人の様子を後ろから見る。
し「伊吹さんは普段何してるの?」
「私は絵を描いてます」
し「イラストレーター?」
「画家です」
し「画家!?」
「はい」
し「すごいねぇ若そうなのに」
「普通ですよ、ただ描くだけですから」
し「うちのはこたろーも絵を描くんだよ」
「そうなんですか」
は「僕はイラストのほうがメインですけどね」
「へぇ…」
し「画家ってあれでしょ、アトリエとか持ってるやつ?」
ガサガサと袋の音をたてながら聞いてくる兄。
「前住んでた場所ではアトリエありましたね。今は家の1部屋をアトリエ代わりにしてます」
し「なるほどね〜」
「でもアトリエだけじゃ描けない人間なので家の中全部アトリエみたいになってます」
し「なにそれゴッホっぽい」
は「何故ゴッホ…」
「面白いですね、しるこさん」
し「だって画家で知ってるのそれくらいしかいないんだもーん。伊吹さんはやっぱそういうのも詳しいんだ?」
「人並みですよ。憧れる画家さんはいますけど」
し「へぇ〜。……ねぇ下の名前なんていうんだっけ」
「Aです」
し「Aちゃん!Aちゃんて呼んじゃおー」
「お好きにどうぞ」
し「クールだね〜」
「よく言われます」
は「着きましたよ」
そう言うと車が止まった。
「ありがとうございました」
し「またね〜。あ!よかったら今度俺らの動画見てみて!」
「見てみます」
は「それじゃあまた」
「はい。さようなら」
二度目に会った印象。
兄は結構人懐っこい。
弟は無口。
……だけど、梅干しを食べると言ってくれた。
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作者名:ぷく | 作成日時:2022年1月12日 14時