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私は引っ越しをすることにした。
昔両親と3人で暮らしていた栃木県の家に。
今の家では毎日のように押し寄せるマスコミに、頭がおかしくなりそうで。
弟も行ってみたいと言っていた。
今度はあそこで皆で暮らそう、そう思った。
諸々の費用や家の購入費用は一括で払った。
有難いことに画家として稼げている為、いつか両親に恩返しをしようと貯めていたお金を使った。
両親が遺したお金には手をつけない。そう決めて。
『お荷物こちらに置きましたので!』
「ありがとうございます」
『伊吹さん、ソファはどちらに置かれますか?』
「あ、それはこっちで」
この家は一度人が入居したらしいが、数年で出ていったらしく、しばらく空き家だった。
荷物の搬入が済み、引っ越し業者を見送ってから1人少しずつ荷解きを始める。
……
休憩がてら、バルコニーに出る。
昔よりかなり町並みが変わっていて、当時はまばらだった住宅地も家が増え、道路は綺麗に舗装されていた。
「そういえばお隣に挨拶行ったほうがいいのかな」
すぐに外に出て菓子折りを買って丁寧に手入れされた庭のある隣の家へ向かった。
……
表札の漢字は読めなかった。
美術意外はてんでダメだった私。
この先1人で大丈夫だろうか。
いや、大丈夫。
ピンポーン
インターホンを鳴らすとすぐに女性が出てきた。
50代くらいの、優しい落ち着いた雰囲気のある女性。
『あら……』
「はじめまして。今日隣に越してきました伊吹Aといいます。ご挨拶に参りました」
『あらあらご丁寧にありがとうございます!ちょっと皆呼んできますね』
そう言って女性は家の奥へ入っていき、人2人と犬を1匹連れて戻ってきた。
『こちらは息子の』
『しるこです』
『弟のはこたろーです』
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作者名:ぷく | 作成日時:2022年1月12日 14時