「気付いて下さい！ こっち見て下さい！ 中原さん！ 」 【文豪ストレイドッグス】

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「＜ 好きな人に名前呼び！ 名前呼びをさり気なく頼んでみましょう！ ＞…云えたら苦労しないよ！ 」






読んでいた雑誌をパーンっと地面に叩きつける。

でも続きが気になる。
ソッと雑誌を拾ってもう一度読む。







「＜ まずは自分から名前呼びをする事！ ＞上司に名前呼び……＜ 相手から名前呼びを頼む時は、相手が自分の事を読んだ時、可愛く、さり気なく「名前呼びでいいですよ」と云ってみましょう！ ＞…か。名前呼びかぁ」







確かに好きな人には名前で呼ばれたい。呼ばれたいに決まってる。

雑誌には可愛い女の子がモデルさんの男の子に、可愛く人差し指を顎に置いて首を傾げて「名前で呼びでいいんだよ？ 」と云っている。

こんな可愛い子が云ったらイチコロでしょ…。


対して自分は全然可愛くないし、特徴的な所だって何も無い。







「はぁ…中原さんが振り向くくらい美人さんに生まれ変わりたいよ」






あ、でも生まれ変わっちゃったら中原さんと逢えるかなんて判らないじゃん。


亦大きな溜息を吐いた。

雑誌を机の上に置いて、名前呼びかぁと考えながら蒲団に入った。






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大祓「彼氏が欲しい！ ！



「わぁ！ ？ び、吃驚した…」



大祓「ドキドキキュンキュンしたい！ 」



「ど、ドキドキ…キュンキュン…」



大祓「少女漫画みたいな恋がしたい！ 」



「南ちゃん…皆んな吃驚してるからもう少し声抑えよ！ ね？ 」








昨日の夜考えていた名前呼びの事を思い出していた時、横に並んで歩いていた南ちゃんが急に叫び出した。

大慌てで南ちゃんの口を押さえトイレに駆け込む。
一体如何したんだろう…。








「ど、如何したの…？ 行成彼氏が欲しいなんて」



大祓「いい感じに続いてた男友達が昨日『彼女出来たんだ』って云われたの！ 酷くない？ ！ 食事とかにも行ったのにーーー！ ！ 意味判んない！ 」



「其れは災難だったね…」



大祓「災難とかいうレベルじゃないよ！ 」



「まぁまぁ南ちゃん。つ、次に期待だよ！ 」



大祓「私はAちゃんみたいに可愛くないから次なんて……はぁ」









食事まで行ったのに彼女が出来た…。



ガックリと肩を落としている南ちゃんの背中を撫で乍もし、中原さんに彼女さんが出来たら如何しようと急に不安になる。

そうだよ。中原さんだって男性。
好きな人もいるだろうし、数年後には…否、若しかしたら数ヶ月後には中原さんの隣にも…。


胸がズキッと痛んだ。

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