「気付いて下さい！ こっち見て下さい！ 中原さん！ 」 【文豪ストレイドッグス】

14 ページ14

.







夢心地。


数時間前の言葉にぴったり。

中原さんと食事しちゃったんだ…私。
嬉しすぎて頰が緩む。今鏡見たら不細工顏が映る。


携帯の着信音が鳴る。

誰だろうと牡丹を押して着信履歴を見ると「中原中也さん」の文字が。
ガタッと動揺のあまりベットから落ちる。





「イッ…た、ぁ……」





頭から落ちた所為でグワングワンと視界が回っている。軽い目眩を起こしているのか…。
数秒経つと其の目眩も消えて視界も正常になった。

メールを開いて内容を見ると「今日は楽しかった。亦食事行こうな」と。


もう私死ぬのかな。

嬉しさのあまりベットの上で悶える。
兎クッションに顔を埋め出そうな大声を抑える。

もう、本当に、嬉しすぎて死んじゃう。心臓止まっちゃうよ。頰が熱すぎて熱出るよ。






「なな、何て返信すれば…正解なんだろう。行きましょうね？ 否、でもさ、亦中原さん優しいから奢るとか云っちゃうでしょ？ なんか奢り目当てって思われちゃう。そんな女の子に見られたく無い。うん。見られたく無い。じゃあ何てすればいいのよ！ ううぅ…判んないよ。正解の返事って何ーー？ 」






ギュゥっと兎クッションを今にも兎が「痛いよ」と喋りだしそうな位強く抱き締める。

はぁ…本当に何が正解で、何が不正解なんだろう。
ゲームとかでは選択肢は出てきて、絶対コレが正解だって判るのに…人生には選択肢は現れないし、攻略方法だって調べても出てこない。



苦しいなぁ。

恋って

片想いって

辛い。




痛くて、苦しくて、辛くて、しんどくて、

重たい感情がゴチャゴチャしてて

パンクしちゃうそう。



早く返事をしないと駄目なのに、文字を打つ指が震えていて、上手く打てない。
返事、判んない。

素直に「行きたいです！ 」て云えばいいのか、「厭です」って断るのか。

流石に厭ですは不味いよね。じゃあ消去法で行きたいです？


其れで、いいのかな。







「もーーー判んないよ。判んないよ神様ー！ 」






人生攻略本が欲しい。切実に。


正直云って滅茶苦茶行きたい。

其の気持ちを普通に、素直に伝えれば……。



震える手で文字を打ち、全部打ち終わった後誤字は無いか確認して、漸と送信。

送信牡丹を押す時が一番震えてました。







「明日顔合わせにくい……て云うか矢っ張りもう一度御礼した方がいいよね。うん。そうだよ、もう一回御礼して、仕事聴いて、うん、其れで、大丈夫。うん。大丈夫、大丈夫」








自分に暗示をかけてベットに横たわり、目を瞑った。

15→←13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す