「気付いて下さい！ こっち見て下さい！ 中原さん！ 」 【文豪ストレイドッグス】

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可愛くなりたいから、覚えて未だ数ヶ月しか経ってないメイクをして、暇があれば雑誌を見たりして更に可愛くなる研究。
新作のリップやチークに給料が飛んで行ってしまう月も…。


でも、好きな人に可愛いなって思われる為、そんな事くらい当然当然！



鏡に映る私の顔。

自慢では無いけどよく「可愛い」って云われる私。
でも自信は無い。

他人から云われても矢っ張り…好きな人から「可愛い」って云われなきゃ意味無いの。


今日は香り付き(オレンジ)のリップを塗って、…っと。




ニッと笑う。

ニコッと笑う。

ニーっと笑う。

微笑む。



可愛いと彼の人が思う笑い方って何れなんだろう…。

なんて悩んでいると時間は止まる事なんて無くてドンドン進んでいて出る時間五分前。
慌てて髪の毛をサイドテールにして、仕事服を着て、鏡の前でチェック。


メイクよし

髪型よし

服装もよし

笑顔は？





「……ニーっ！ 」





笑顔も完璧！



よし、先ず朝は「お早う御座います」って、百点満点の笑顔で云うんだから！
頑張るんだ私！



靴を履いて仕事場へ走り出した。







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何度も手鏡で確認したから大丈夫。何も可笑しな所は無い。リップだって再度塗り直したからオレンジの香りほのかに香る。

ドキドキと煩い心臓を無視してコンコンコンっと三回ノックをする。







「なっ、中原さん！ 柊です！ 」



中原「入っていいぞー」



「失礼します！ 」








名前噛んじゃうなんて私の莫迦ぁぁ！ ！ 昨日は普通に噛まずに云えたじゃん！ 何で噛んじゃうのよぉぉ！


恥ずかしさで屹と今の私の顔は真っ赤だと思う。ちょっと熱い…。



ドアを開け、一歩、一歩と中原さんの元へ歩く。バタンッとドアが閉まった。

中原さんは資料片手に私を見てニカッと笑った。









中原「早いな柊」



「今日は早目に家を出れたので…」



中原「まぁ、遅刻はしてねェし、良い事だ」







「ちょっと待てよ」と机に置いてある大量の資料から何束か抜き取り私に手渡す。

一瞬触れた手に一々ドキッとする私は大袈裟ですよね…。







中原「如何した？ 」



「いい、いえっ、何もありません！ えっと、此れが今日の仕事ですね！ 判りました！ 」



中原「あ、嗚呼…」



「では私はこれで。失礼しました！ 」







早足で中原さんの部屋を出る。



はぁぁ……緊張した。
今日は噛み噛みデーだな。滑舌良くなる方法後で検索しよっと。

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